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まち全体を学食に。“学生ランチMAPプロジェクト”始動中!
新潟薬科大学の新キャンパスが門を構えるのは、坂口安吾ゆかりの地である新潟県新潟市秋葉区の中心地。大学によって栄えたまちは“学生街”と呼ばれますが、このまちはちょっと特殊な学生街なんです。その理由は、新潟薬科大学と秋葉区の間に交わされた“学校に学食をつくらない”という約束にありました。
秋葉区と新潟薬科大・新キャンパスが行っている「学生ランチMAPプロジェクト」は、町中にあるキャンパスに学食をあえて作らず、商店街の飲食店へ足を運んでもらうことでまちを活性化していく取り組み。まち全体を学食と考え、大学と地域とが一体になったコミュニティを目指しています。
大学とまちを結びつけるのは、生徒達がつくる飲食店の案内MAP。学生たちにはこの地図を頼りに街のお店を巡ってもらいます。このマップを通じて街中の飲食店を紹介するとともに、取材や配布活動を通して地域の人と関わり、同時に様々な“学び”も得ていくことができます。中には、共同でのメニューの開発を行っている店舗も!
それがこちらの“キッチンK”さん。プロジェクトに参加した学生たちと共同で、ランチの新メニュー開発を行いました。新しくメニューに加わったのは学生のお財布にも優しい大皿料理。シェアすることを前提にしたメニューは多くの学生たちからも好評だそう。
メニュー開発の際には、学生から「ランチにスープもつけたい」という提案があったものの、「スープは仕込みにも時間がかかる一品。お店として下手なものを出すわけにはいかない」という理由から見送られました。新メニューのためには新たに仕入れが必要になるということ、メニューとして出す以上は全てが店の看板になるということ。飲食店を経営してきたプロの言葉から学べることは沢山があります。こうした経験を通じて「仕事」を知っていって欲しいというのもプロジェクトに込められた想いです。
学生側にはこうした活動を通じて経験を得ることができ、店舗側にはお客さんが増えて訪れる学生の声が聞ける、というメリットがあります。学校が取り組む地域活性化の事例は数多くありますが、まちが協同して“学校に学食を作らない”というのは思い切ったユニークな取り組み。
“まち全体を食堂に”というアイデアは秋葉区以外でもさまざまな土地で応用できるもの。この取り組みが広がっていけば、様々な地域のプロジェクトを助けるヒントになっていくかもしれません。
Photo:Toru Takahashi