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“それぞれの震災後”を表現する企画展「絶望でもなく、希望でもなく」開催中!

福島・いわきに根ざし、アイデアをあらゆるかたちで発信していく。企画・編集・PR事務所「ヘキレキ舎」代表・小松理虔さんによる、いわきレター。


 

今回のトピックスは、福島県のちょうど真ん中、猪苗代湖にあるはじまりの美術館」で開催中の企画展「絶望でもなく、希望でもなく」について。こちらの展示、「震災後の福島からの表現」をテーマにした企画展になっていて、県内外の7組のアーティストによる作品が展示されています。

 

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詩人の和合亮一さんや、いわき市で音楽を中心にした表現活動を行っている十中八九、それから、手前味噌ながら私も、友人のドローイング作家であるtttttanくんとの合作を出品しています。会期が6月27日までなので、ぜひ福島を訪ねることがあったら行ってみてください。作品の感想もお寄せくださいね。

 

筆者の作品。ファックスと感熱紙を使い、記憶と記録の関わりを表現した。

筆者の作品。ファックスと感熱紙を使い、記憶と記録の関わりを表現した。

展示も興味深いのですが、見どころはこの美術館そのもの。2014年6月に、築130年の酒蔵「十八間蔵」を改修して誕生した小さな美術館で、館内の至る所に昔の骨組みが露出し、内装のデザインなども相まって、とても居心地のよい空間になっています。カフェも併設されていて、スタッフの方とのおしゃべりもまた楽しみのひとつ。

 

とても美しくリノベーションされた十八間蔵

とても美しくリノベーションされた十八間蔵。

なんだか実家に帰ってきたような、居心地のいい空間なんです。コーヒーを飲んでいると「ああ、ここに居ていいんだ」と素直に思えるような、とても懐の深い、そして居心地のいい空間なんですね。

カフェスペースでのゆったりとした時間も美術館の魅力のひとつ

カフェスペースでのゆったりとした時間も美術館の魅力のひとつ。

この居心地の良さは、この美術館の成り立ちに由来するもの。はじまりの美術館は、「安積愛育園」という、主に知的に障がいを持つ方の支援事業を担ってきた社会福祉法人が運営しています。障害の有無に関係なく、自己表現を楽しむ場、集える場を作ろうという目的で開設され、アール・ブリュット(障がい者による芸術)の新興や展示にも力を入れています。

アートが介在することで、既存のコミュニティとは別の、普段はマイノリティと言わざるを得ないような人が集まって別のコミュニティができてくるんですね。だからここではいかなる人も排除されない。そういう福祉の哲学が通底しているからこそ、不思議な居心地の良さがあるのだと思います。

ちなみに、はじまりの美術館の前のそば屋さん「しおやぐら」もおすすめ。山菜の天ぷらと地元の蔵元の地酒も味わえます。美術館になる前の建物だった十八間蔵は、しおやぐらを運営している塩谷家の蔵だったそう。かつての猪苗代の暮らしぶりを感じながら、おそばと天ぷらと地酒、そしてアート。ここに来れば最高の休日になること間違いなしです。

 

しおやぐらのそばは必食。地酒の「七重郎」もぜひ一緒にどうぞ!

しおやぐらのそばは必食。地酒の「七重郎」もぜひ一緒にどうぞ!

 

(更新日:2016.06.03)
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