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何も学ばなくていい場所。鹿児島しょうぶ学園・ドキュメンタリー映画『幸福は日々の中に』公開中!

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敷地内に植えられたさまざまな種類の木々や花、土壁でつくれた建物、太陽に反射してきらきら光る小川、3匹のひつじとロバ、焼きたてのパンの香り……。

知的しょうがい者施設「しょうぶ学園」は、鹿児島市内の住宅街の一角にあります。

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緑あふれる開放的な園内には、全粒粉を石臼で挽いて作ったパンとクッキーを販売する工房「ポンピ堂」、石臼挽きのそば粉を使用した手打ちのおそば屋「凡太」、園生がつくる木工・陶芸・和紙・布などのクラフト作品を展示・販売するショップ「ル・デポ」、作品を展示する「Sギャラリー」が点在し、全国からこの場所を目指し多くの人々が訪れています。

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しょうぶ学園」は、知的しょうがい者の自立支援に取り組みながら、ものづくりを通じてて、園生の感性を引き出し、自分のスタイル(独自性)を持つことの本質を社会に向け発信。「しょうがいとは何か」を根底から問いかけています。

針一本で縫い続ける糸と布のプロジェクト「nui project」や、楽器を自由に弾き、叩き、叫ぶパーカッショングループ「otto&orabu」など、ありのままを表現するそれらのプロジェクトは、観る人々の心に衝撃を与えています。

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作品・シャツ

そんな「しょうぶ学園」の日常を切り取ったドキュメンタリー映画、『幸福は日々の中に。』が現在、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開中です。

監督は、 90年代に伝説となったインディペンデント映画『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』を制作したドイツ人映像作家ヴェルナー・ペンツェル氏と、『島の色静かな声』(08)を制作し、写真家でもある茂木綾子氏。

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時が止まったような居心地のよさ

中庭で、来る日も来る日も一本の木の側で、しゃがみこんでどこかを見つめ続けるたけしくん。カメラをひたすら向け続けても全く気にしない。

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気持ちのいいカフェテリアでごはんを食べる様子。食べ物との向き合い方も人それぞれ。誰も自分を人と比べるということをしない。

刺繍工房で、糸と布とたわむれ部屋中を埋め尽くす吉本さん。わたしたちのように目的やゴールを持たず、ただただ永遠に続く“いま”の中で、布を小さく切り取り、糸を並べている。

紙の上から椅子から机から、床も壁もペンキで四角い升目を描き続ける濱田さん。何年も変わらず同じスタイルで、毎日毎日、升目を描き、その筆さばきには一切の迷いがない。

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学園長・福森伸さんは、長年彼らに寄り添いながら、常に自分自身のあり方に疑問を抱き続けてきたといいます。
「僕たちは、彼らに社会の秩序というものを教える立場ではない。彼らから精神的な秩序を学ぶべきだ。」

映画『幸福は日々の中に。』では、「otto&orabu」の自由な音とともに園生の日常的な風景が園生の目線で切り取られています。

やさしさとは何か、普通とは何か。きれい事ではすまされない福祉事業の運営において、「しょうぶ学園」が取り組んできた活動は、当たり前だと信じてきたことにさまざまな問いを投げかけるはず。ぜひ劇場に足を運んでみてください。渋谷シアター・イメージフォーラム公開後、全国順次公開予定です。

*茂木綾子監督のインタビュー記事はこちらから。

INFORMATION

映画『幸福は日々の中に。』

福森園長渋谷シアター・イメージフォーラムほか、全国順次公開
監督:ヴェルナー・ペンツェル、茂木綾子 時間:73分
公式HP:http://silentvoice.jp/whilewekissthesky

 

 

「シアター・イメージフォーラム」公開情報:

11:00〜/20:50〜
シアター・イメージフォーラム 東京都渋谷区渋谷2-10-2
アクセス:渋谷駅より徒歩8分  電話:03-5766-0116

 

茂木綾子監督トークショースケジュール

7/5(火)20:50〜上映
22:00〜 佐々木俊尚氏(ジャーナリスト / 評論家)
7/6(水)20:50〜上映
22:00〜 ヴィヴィアン 佐藤氏(ドラァグクイーン / 映画評論家)
7/7(木)20:50〜上映
22:00〜 中原 慎一郎氏(ランドスケーププロダクツ代表)
7/8(金)coming soon!

(更新日:2016.07.06)
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