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違いを踏み越えようとするささやかな一歩を、ここから。フェスティバルFUKUSHIMA!2021『越境する意志/The Will to Cross Borders』、10月17日まで開催中!@福島県・福島市
世代、国籍、文化、価値観など、私たちは日々、さまざまな「隔たり」に囲まれながら暮らしています。そして、時にはこうした隔たりから亀裂が生じてしまうことも少なくありません。最近では、帰省やワクチン接種の是非などをめぐって身近な人とも意見が分かれ、一人ひとりの意識の差から分断や摩擦が生まれてしまう場面も見受けられるようになりました。
そんないま、「越境」がテーマの展覧会、フェスティバルFUKUSHIMA!2021『越境する意志/The Will to Cross Borders』が、2021年10月17日(日)まで、福島県福島市の農村公園「四季の里」で開催されています。
10年前、「ネガティブに世界に知られたFUKUSHIMAを文化でポジティブに転換する」という目標のもと、展覧会を中心とするフェスティバルとして始まった『フェスティバルFUKUSHIMA!』 。今回のタイトル「越境する意志」は、震災から、そして活動開始から10回目という節目を越えて、これからもプロジェクトを継続していく意志を示すと同時に、今だからこそ伝えたいメッセージが込められているといいます。
“(前略)この 5 人の作家の展覧会「The Will to Cross Borders /越境する意志」 では、東日本大震災から 10 年という時間を一つのテーマとして作家に声がけすることから始めているが、各作家の作品のすべてが必ずしも震災や震災後の福島を主題にしてるわけではない。けれども以前から当然のことようにあったもの/なくなったもの、震災を通して可視化されたもの、時間が経ったから動き出したもの、現在のコロナ禍で浮かび上がるもの、個人の小さな出来事や意思が世界と繋がっていること、そんなことを想起させる。時間や様々な分断や違いを踏み越えようとするささやかな一歩の積み重ねの見えるような場所であったらいいし、きっとそういうことからしか世界は変わらないと思っている。県境を跨ぐことすらも憚られるような状況の中で、なんとも皮肉めいたタイトルになってしまったけれども、なんでも軽々と飛び越えてしまうような自由な気持ちはいつでもギュッと握りしめていたい。 ”
中﨑透(美術家/本展キュレーター)
出展するのは、写真、彫刻、映像などさまざまな作品を手掛ける5名のアーティスト。それぞれの表現を通じて、震災と原発事故、そして昨今の社会で日々生まれる分断を乗り越える思いを発信します。

岩根愛『No Man Ever Steps in the Same River Twice』2020年 写真提供:フェスティバルFUKUSHIMA!2021

ちばふみ枝『くすんだベール』2021年 写真提供:フェスティバルFUKUSHIMA!2021

中村葵『Reloaded Body-head-』2019年 写真提供:フェスティバルFUKUSHIMA!2021

藤井光『解剖学教室』2020年 写真提供:フェスティバルFUKUSHIMA!2021
中でも、本展のキュレーターを務める美術家の中﨑透さんは、電灯やライトバーを用いた作品『Red line in the forest』を展示。空間を真っすぐに突き抜ける鮮やかなライトバーは「分断」を象徴し、来場者がくぐり抜けて通る仕様になっています。

中﨑透『Red line in the forest』2021年 photo by Koji Nishikawa 写真提供:フェスティバルFUKUSHIMA!2021
場所、時間、価値観……アーティストの手によって、さまざまな違いを踏み越える「意志」に形が与えられた時、そこから生まれるものとは? ぜひ会場に足を運んで、作品に触れてみてください。
INFORMATION
フェスティバルFUKUSHIMA!2021「越境する意志/The Will to Cross Borders」
期間:~2021年10月17日(日)
会場:福島市 四季の里/憩いの館(福島県福島市荒井字上鷺西1-1)
アクセス:
JR東北新幹線福島駅下車 西口から車で約25分/東口から路線バスで約30分
東北自動車道福島西ICより車で約10分
入場料:1,000円(一般) ※小学生以下は無料
参加アーティスト:岩根愛/ちばふみ枝/中﨑透/中村葵/藤井光
公式HP:http://www.pj-fukushima.jp/event/post-37.php
※期間中のオープン日時につきましては、プロジェクトFUKUSHIMA! 公式WEBサイトやSNSにてご確認ください。
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