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民話から、かつてここで生きていた人の姿が立ち上る。展覧会「いいつたえ、むかしばなし、はなし」、~2月6日(日)開催中。@宮城県・仙台市
地域の暮らしから生まれ、伝承されてきた民話。それは、語り始めた人がいなくなった後でも、土地が形を変えた後でも、語り継がれることによってのみ残されていく、土地の記憶です。
現在、そんな土地の民話を紹介する展覧会、「2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞いた『いいつたえ、むかしばなし、はなし』−その9− 亘理郡亘理町周辺の民話」が、~2022年2月6日(日)、宮城県仙台市の文化施設「せんだいメディアテーク」にて開催中です。
焦点が当てられるのは、2011 年3 月11 日の大津波で大きな被害をこうむった、宮城県内の沿岸集落に伝わる「民話」。それら一つひとつの「語り」は、土地どちで民話を聞き歩く活動を約45年間続けてきた「みやぎ民話の会」によって、1985 年から1988 年にかけて採集されたものです。
本展は、そんな「みやぎ民話の会」の設立者であり、民話採訪の活動家である小野和子さんによって厳選された10話程度を紹介するシリーズ展として2012年から始まり、これまでに8地域の浜の民話が紹介されてきました。

「2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞いた《いいつたえ、むかしばなし、はなし》−その6−」第一話『太郎と天神さま』より一部抜粋 写真:小田嶋利江/イラスト:澁谷夏海
そして、第9回目となる今回は、県の南側に位置する亘理郡亘理町(わたりぐんわたりちょう)周辺に住む方に聞き書きをし採集された12話が紹介されます。
これらの民話を語った方の多くは震災の前にすでに亡くなられており、また、語られた土地の姿は当時から大きく変化し、今では、若い人の多くが地元を去ることを余儀なくされる現状もあるといいます。そんななか、形を変えることなく、語り継がれることによって今日まで残ってきた民話は、今を生きる私たちにどんなメッセージを語りかけてくれるのでしょうか。
さらに、2022年1月16日(日)には、誰もが知る日本の民話を題材に、みやぎ民話の会が1974年から採訪し記録してきた民話語りの映像や音声を見聞きしながら、参加者とともに語り合う「民話ゆうわ座」も開催されます。
宮城にゆかりがない方も、一つの土地に脈々と語り継がれてきた民話を通じて、生まれ故郷に眠る土地の記憶に想いを馳せてみませんか?
INFORMATION
2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞いた「いいつたえ、むかしばなし、はなし」−その9− 亘理郡亘理町周辺の民話
期間:~2022年2月6日(日)9:00〜20:00
※ 11月25日(木)、12月28日(火)〜1月3日(月)、1月27日(木)は休館
会場:せんだいメディアテーク7Fスタジオa(仙台市青葉区春日町2-1)
アクセス:仙台駅より徒歩20分/南北線勾当台公園駅下車、「公園2」出口から徒歩6分
入場料:無料
◎関連イベント
第8回「民話 ゆうわ座」
日時:2022年1月16日(日)13:00-16:00
会場:せんだいメディアテーク1Fオープンスクエア(仙台市青葉区春日町2-1)
入場料:無料
※事前の申し込みが必要です(詳細は随時公式サイトにて公開予定)
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