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日々の暮らしを問い直すための「福島第一原発」

福島・いわきに根ざし、アイデアをあらゆるかたちで発信していく。企画・編集・PR事務所「ヘキレキ舎」代表・小松理虔さんによる、いわきレター。


 

初夏を思わせるような天気が増えてきた5月。久しぶりに福島第一原子力発電所の視察に行ってきました。

原発へと続く帰還困難区域の道路。

原発へと続く帰還困難区域の道路。

行ってきました」って気軽にレポートを書けるくらいに、実は、福島第一原発は視察を受け入れています。原発事故後、東京電力はのべ20,000人近くの視察者を受け入れているそうです。意外と門戸が開かれているんですね。

福島第一原発構内。どこかの工場のような雰囲気。

福島第一原発構内。どこかの工場のような雰囲気。

視察時の筆者(右)。視察で被曝した放射線量は歯医者のレントゲン1回程度。

視察時の筆者(右)。視察で被曝した放射線量は歯医者のレントゲン1回程度。

一般社団法人AFWという、民間人の視察受け入れをしている団体が福島にあり、そこに申し込んで参加しました。だから、実際には気軽にフラっと行けるわけではありませんし、視察前に少しレクチャーを受ける必要もあります。コースもあらかじめ決まっていて写真も好き勝手撮ることはできません。でも、門が開かれているのは事実。

視察を受け入れている吉川さん。筆者が企画する海洋調査ラボでも講師を務めてもらっている。

視察を受け入れている吉川さん。筆者が企画する海洋調査ラボでも講師を務めてもらっている。

個人として2度目の視察ということもあり、今回の視察で感じたのは「うわっ、以外と普通だな」ってこと。もちろん部分的に線量が高いところもあるし、解け落ちた燃料の取り出しも終わってないので、相変わらず厳しい場所であることに変わりはありません。一方で、原発事故当時の状況を思い返すと、だいぶ復旧は進んできているし、ほんと、どこかの工場のように見えます。

爆発事故当時と比べれば復旧がかなり進んで来ている。

爆発事故当時と比べれば復旧がかなり進んで来ている。

大量に貯蔵された汚染水対策も急務だ。

大量に貯蔵された汚染水対策も急務だ。

依然として厳しい現場ではあります。しかし、改善しているものもあります。そこは峻別して考えて、そのうえで、想像上の「福島第一原発」をアップデートしていく必要があります。まだ最悪のイメージが残っている人も多いと思いますが、むしろ、そんな人にこそこの視察を体験してもらいたいと思っています。

原子炉建屋前ではフル装備の作業員が作業にあたる。

原子炉建屋前ではフル装備の作業員が作業にあたる。

そしてまた、この現場は様々な問いをもたらしてくれます。地方都市の問題、日常や暮らしの問題、エネルギーの問題、廃棄物の問題。これらの問題はすべて、日本の地方と地続きです。その意味で、地方移住を考える皆さんにとって無縁ではありません。あなたの何かしらの関心と結びついて、より深い思索をもたらしてくれるはずです。

よく、まちづくりに必要なのは「ワカモノ、ソトモノ、バカモノ」と言われます。つまり、原発を視察した皆さんの意見が、実は、福島の地域再生に欠かせないということ。外部の意見を取り入れれば、視察も、よりガラス張りになっていくでしょう。だからこそ、機会があれば皆さんにも参加してもらいたいと思うんです。

当事者じゃない人なんていません。みんなで考えていくべき問題だし、それを考えることは県外に暮らすの人たち「暮らし」にも「地域づくり」にも、大きなプラスになると思います。

福島にしかない「壊れた原発」の視察、機会があればぜひチャレンジしてみて下さい。興味がある人は、一般社団法人AFWのウェブサイトも要チェック。

 

(更新日:2017.06.09)
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