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“異なるコミュニティ”をつなぐ、多様なメディアのかたちを探る。『ローカルメディアの仕事術』発売中!

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ローカルフード、ローカルビジネスなど、あらゆるシーンで“ローカル”という言葉の下、限られたエリアの局地的な情報に価値が置かれる今、同じように地域に根ざした情報を発信する“ローカルメディア”がますます注目を集めています。

そのおもしろさに注目し、全国各地を訪ねてローカルメディアの作り手たちへの取材を重ねているのが、千十一編集室を主宰する編集者の影山裕樹さん。影山さんはアートやカルチャー書を数多く手がける一方で、地域にまつわるさまざまなプロジェクトのディレクションにも携わっています。

今年5月、影山さんの編著『ローカルメディアの仕事術 —人と地域をつなぐ8つのメソッド』が発売されました。この本は、2016年に影山さんが全国各地のユニークなメディアの作り手たちを取材してまとめた書籍『ローカルメディアのつくりかた —人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』の続編として作られたもの。

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本書で編著者の影山さんは、「ローカルメディアの役割は“異なるコミュニティ”をつなぐこと」と語っています。メディアをつくるのがゴールではなく、メディアを通じて、地域内の固定化したコミュニティや人の流れを撹拌し、自分たちが暮らすまちの魅力や資源に気づいて新しい交流やビジネスが生まれたり、人口流出や高齢化などの地域課題を自分ごととして共有したりする手段になるのではないかということを、さまざまな事例とともに提示。

さらに、帯にも書かれている通り、編著者の影山さんはこの本を実践的な“ノウハウ集”と位置づけ、地域に必要とされるメディアを生み出す際の要となる、メディアの意義や流通など全体像の見据え方、制作・運営するためのスタッフや資金の集め方、目的に沿ったデザインの役割、取材・執筆・撮影の方法……などがつぶさに綴られています。

本書では、こうしたノウハウを影山さんの視点だけではなく、各地で魅力的なローカルメディアを立ち上げてきた編集者やデザイナーなど7人の寄稿文としても紹介。

【もくじ】
1章 ローカルメディアを始める前に 影山裕樹

2章 ローカルメディアの編集術
1 全体像をつくる
○ プロデュース術──最後まで緻密に関わる
幅允孝/ブックディレクター
○ 編集術──関係者に揉まれながら一番よい解決策をみつける
影山裕樹/編集者

2 枠組みをつくる
○ チームづくり──ともにつくる10カ条
多田智美/編集者・MUESUM代表
○ デザインの方法──魅力的な誌面をめぐる考え方
原田祐馬/UMA/design farm代表
○ ウェブサイト運営術──収益をめぐる試行錯誤から
原田一博/『枚方つーしん』

3 ディテールをつくる
○ 取材&インタビュー術──街の人の素の声を聞きとるには
成田希/星羊社・『はま太郎』編集長
○ 文章術と心構え──誰かではなく「私」が書く
小松理虔/ヘキレキ舎代表・フリーライター
○ 写真の撮り方──撮り溜めのすすめ
山崎亮/コミュニティデザイナー・studio-L代表

3章 メディアの編集からまちの編集へ 影山裕樹
1 NPOがつくるメディアとまち──事業を掛け合わせるフットワーク
『ヨコハマ経済新聞』(横浜市)
『おへマガ』(岐阜県恵那市)
2 企業や産業がつくるメディアとまち──価値を再発見する、地域密着の方法
『三浦編集長』(島根県大田市)
『にんじん』(石川県七尾市)
ヘキレキ舎(福島県いわき市)
3 市民がつくるメディアとまち──本当の担い手はいつも個人
『右京じかん』(京都市右京区)
『谷中・根津・千駄木』(東京都文京区・台東区)
サーキュレーションキョウト(京都市)

ブックディレクターのBACH・幅允孝さんは、兵庫県豊岡市・城崎温泉の若旦那衆が立ち上げたNPOプロジェクト「本と温泉」を例に挙げ、売り方、内容、装丁にこだわった“ご当地限定本”を媒介にしたまちの編集について。
『雛形』の記事でも地域の情報や暮らしぶりを綴ってくれた福島県いわき市在住のフリーライター、ヘキレキ舎・小松理虔さんは、自身が地域の記事を執筆する時の心構えと、読み手に届く“わかりやすい”文章術について、講座さながらの丁寧な解説をしています。

それぞれの経験談と共に語られる著者独自のアプローチや編集術は、地域の情報発信に携わる人やこれから新たにローカルメディアを立ち上げたいと考えている人にとって、有効なヒントになること請け合い!

ローカルメディアのさらなる可能性と自由度の高さを実感できる一冊です。

“異なるコミュニティ”をつなぐ、多様なメディアのかたちを探る。『ローカルメディアの仕事術』発売中!
影山裕樹(かげやま・ゆうき) 1982年東京生まれ。編集者。合同会社千十一編集室代表。アート・カルチャー書の企画編集のほか、各地でさまざまな地域プロジェクトのディレクションに携わる。近年の主な仕事に「十和田奥入瀬芸術祭」(2013、エディトリアル・ディレクター)、「CIRCULATION KYOTO」(2017、プロジェクト・ディレクター)、ウェブマガジン「EDIT LOCAL」(2017〜、ディレクター)など。著書に、『大人が作る秘密基地』(DU BOOKS)、『ローカルメディアのつくりかた』(学芸出版社)、編著に『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)、『あたらしい「路上」のつくり方』(DU BOOKS)などがある。青山学院女子短期大学非常勤講師。山下陽光、下道基行とともに路上観察ユニット「新しい骨董」としても活動。

千十一編集室 http://sen-to-ichi.com

INFORMATION

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『ローカルメディアの仕事術 -人と地域をつなぐ8つのメソッド-』
編著:影山裕樹
著:幅允孝、多田智美、原田祐馬、原田一博、成田希、小松理虔、山崎亮
本体価格:2,000円+税
発行:学芸出版社
全国書店にて発売中

(更新日:2018.06.04)
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