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人生を語り伝える、生きた民族資料。 「私はおぼえている」10月20日(土)上映会@鳥取県・倉吉パークスクエア
この世の中に存在する私たちの誰もが、生きながらに唯一無二の物語を作り上げています。でも、そうした物語のほとんどは語られることなく静かに消えていってしまう。
鳥取でスタートした「現時点プロジェクト」は、いつもの暮らし・いつもの風景に価値を見出し、それが消えてしまう前に、現時点に生きる私たちで残していこうというもの。映画監督で映像作家の波田野州平さんが中心となり、日常の中にある小さな驚きや、忘れられていた大切なことを発見し、記録・公開する活動を行っています。
そのプロジェクとの一環として上映される「私はおぼえている」は、「あなたの人生は語り伝える価値がある」という考えのもと、鳥取県内在住の方を対象に、インタビュー形式で映像撮影を行ったもの。記録されているのは、これまで大きく扱われることのなかった私的な体験です。そうした映像や語りを観て聴くことで、その土地の空気感や時代背景までも感じ取ることができそうです。
今回上映されるのは、「小椋久義さんと家族の記憶」と、「小谷重信さんと海辺の記憶」の二話。
98歳の小椋さんは、鳥取県の関金にある山間の村、小泉で育った方。6世帯からなる小さな集落の小泉で過ごした自身の生い立ちを中心に、幼い頃に死別したお母さんのこと、大東亜戦争のこと、開墾したワサビ田と養魚場に至るまでの濃密な一代記を語ってくださいます。
もう一話は、鳥取県の湯梨浜にある日本海に面した小さな村、小浜で育った小谷さんの語り。小浜は、かつては貝殻とりと呼ばれるホタテ漁を主な産業としていましたが、昭和初期に下火になり、今では漁を生業にする人はいないのだとか。幼い頃に手伝った貝殻とりのことから湾に迷い込んだ鮪の群れのこと、自身が出征した時のこと、そして現在の愉しみまで、99歳の小谷さんの語りは続きます。
こうした口述の歴史を通して、知らない土地の人々の暮らしと人生の真実に触れることは、暮らしの中に隠れていた幸せの原石を探し出すきっかけにもなりそう。鳥取の新たな「生きた民族資料」の1ページが綴られる瞬間に立ち会ってみませんか? 上映後のトークではゲストとして「雛形」編集部の森も参加します。
INFORMATION
「私はおぼえている」
日時:2018年10月20日(土) 15時〜17時
場所:倉吉パークスクエア視聴覚ホール(鳥取県倉吉市駄経寺町187 市立図書館2F)
料金:入場無料
上映作品:【第1話】小椋久義さんと家族の記憶、【第2話】小谷重信さんと海辺の記憶
問い合わせ:080-3890-0371(野口明生)、genjiten2017@gmail.com