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あなたの人生は語り伝える価値がある。「私はおぼえている」11月24日(日)上映会@鳥取県・倉吉

通学中に毎日通りがかっていた古本屋。利き手の手首を黒く汚してしまう2Bの鉛筆。錆びた遊具が並ぶ公園。「もう使わないから」としまい込んですっかり忘れてしまったものも、気づかないうちになくしてしまったものも、かつてそこに、確実に、絶対に、存在していた。

映像作家の波田野州平さんが主宰する記憶集団「現時点プロジェクト」は、「どんな人のどんな人生も、語り伝える価値がある」という考えのもと、地域の人々のいつもの暮らし・いつもの風景を、映像と写真で記録し、一般公開することをメインに活動しています。その活動の一部として、彼らが2018年から継続的に上映会を行っている「私はおぼえている」は、鳥取県内在住の方を対象にインタビュー形式で映像撮影を行い、彼らの半生と地域の記憶の保存・公開を目的にしているプロジェクトです。

 

映像では、鳥取県中部の80代~90代の男女が、幼少期の思い出から当時の暮らしや仕事の様子、そして戦時中の記憶などを、かつての中部地域の姿とともに語っています。戦時中に営まれていた日常の風景や、かつては盛んだったホタテ漁の様子、嫁いだ当時の心細い気持ちなど、どれもが彼らの記憶の中では鮮明なことに気づきます。

今回の上映会では、これまでに上映されてきた4作品に加え、「長田はつ子さんと海女の記憶」「牧田智子さんと両親の記憶」「浜川千代子さんと夫婦の記憶」「牧野順子さんと銃後の記憶」の4本の新作も含めたシリーズ全8作品が上映されます。

 

70年間海女さんとして海に潜り続けた記憶を語った長田はつ子さん。(新作)

夫婦で倉吉市の銭湯を営む牧田智子さん。嫁ぐ前、両親と過ごした記憶を語った。(新作)

当時暮らしていた山奥で兎の狩りや干し柿売りをしたこと、亡き母のことを語ってくれた藤原喜代江さん。

まだ灌漑(かんがい)が進む前の砂地の記憶を語ってくれた濱根良太郎さん。

 

取材に応じてくれた人たちが紡ぐ言葉と鳥取の景色によって、当時の「いま」を生きた記憶は数十年後の「いま」を生きる私たちに、まだ見たことのない情景を浮かび上がらせながら提示されます。

多様性が謳われ、どんな自分でもとがめられないのがスタンダードになりつつある現代。私たちが想像もしなかったような経験や当時の価値観を、語りの中から発見するはず。

カメラの向こうからあなたに届けられた記憶を、受け取ってみませんか?

(写真:河原朝子)

(更新日:2019.11.20)
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