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アートには、人を動かす力、地域を動かす力、つなぐ力がある。『奥能登国際芸術祭2020+』9月4日(土)〜開催!@石川県・珠洲市

2017年の秋に、能登半島の最北端である珠洲市(すずし)で初めて開催された『奥能登国際芸術祭』。地域の歴史、特徴や豊かさが、国内外のアーティストたちの手によって表現されました。そして2回目となる今回は、新型コロナウィルスの感染拡大によって、1年の延期の末に『奥能登国際芸術祭2020+』の開催が決定。2021年9月4日(土)~10月24日(日)、石川県珠洲市を会場に開催されます。

能登半島から突き出たかたちで先端に位置するため、「さいはての地」とも呼ばれる珠洲市は、世界農業遺産「能登の里山里海」にも認定されている雄大な自然に囲まれたまち。交通の便の悪さが幸いし、本来ならば時代とともに風化されてしまってもおかしくない日本の生活文化や伝統産業が、手つかずのまま残ってきた場所でもあります。

美術家・塩田千春さんや写真家・石川直樹さんなど、16の国と地域から53組のアーティストが集結し、珠洲市の地理的な特性や伝統的な文化を起点とした、豊かな作品たちが誕生しています。

 

「第一波」デイヴィッド・スプリグス(イギリス/カナダ)

写真提供:奥能登国際芸術祭2020+

かつての漁具倉庫の薄暗い内部に、作家が珠洲で最も強い印象を受けたという巨大な荒波が出現します。正面から見ると立体的に見えるこの作品は、一枚一枚手描きで絵が施された透明なフィルムを何層にも重ね合わせてつくられたもの。他の視点から見れば形の認知はゆらぎ、「見る」ことの不確実性と能動性を感得することができる作品です。

 

「私たちの乗りもの(アース・スタンピング・マシーン)」フェルナンド・フォグリ(ウルグアイ)

写真提供:奥能登国際芸術祭2020+

平安時代末期から珠洲市を中心に能登半島の先一帯に伝わる「珠洲焼」。中世の珠洲焼の文様にインスパイアを受けた作家が制作した本作品は、巨大な手押しスタンプ機のようです。実際に、鑑賞者は砂浜に珠洲焼文様のスタンプを押すことができます。

 

「母音/海鳴り」橋本雅也(日本)

Photo by 六田春彦

珠洲の歴史が、瓦産業や珠洲焼、珪藻土など「土」と共にあることに注目した作家。瓦工場跡地から採取した粘土や能登瓦の道具を用いて、自身が初めて粘土に触れた時に覚えた深い懐かしさ、呼吸、鼓動、波の揺らぎ、波に洗われた小石や星々などの繋がりを表した作品です。

 

さらに、2回目の開催となる今回は、珠洲に眠る古い民具に焦点を当てた劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」も誕生。珠洲市内のお宅65軒から収集された1500点を超える民具の一部を活用し、アーティストの手によって、「モノ」に宿る古い記憶がひらかれます。

スズ・シアター・ミュージアム Photo by 南条嘉毅

奥能登国際芸術祭2020+』の実行委員長であり、珠洲市長の泉谷満寿裕(ますひろ)さんは、次のように話します。

「アートには力があります。人の心を動かす力。地域を変える力。そして、つなぐ力。コロナ禍によって失われつつある大切なことをアートは甦らせてくれるのではないでしょうか。さいはての珠洲に、是非、お越しいただき、ゆっくりと静かに流れる時間の中で、アートの力を感じていただきたいと思います」

文明の発展に流されることなく残ってきた珠洲の生活文化。そこに、アーティストの手によって光が当てられ、再解釈が与えられた時、見えてくるものとは?ぜひ、現地で感じてみませんか。

INFORMATION

奥能登国際芸術祭2020+

会期:2021年9月4日(土)~10月24日(日)
会場:石川県珠洲市全域
料金:
一般…2,500円(前売)/3,000円(当日)
大学生…1,000円(前売)/1,200円(当日)
小中高校生…300円(前売)/500円(当日)
チケット購入窓口:
プレイガイド、石川県内・珠洲市内の各施設、旅行会社など
※詳細は公式HPでご確認ください。
アクセス:https://oku-noto.jp/ja/access.html
問い合わせ:0768-82-7720(奥能登国際芸術祭実行委員会事務局)
※8:30〜17:00、土日祝は除く
公式HP:https://oku-noto.jp/ja/index.html
参加アーティスト:青木野枝/浅葉克己/阿部海太郎/カルロス・アモラレス/石川直樹/磯辺行久/今尾拓真/シモン・ヴェガ/大岩オスカール/大川友希/尾花賢一/OBI/ディラン・カク(郭達麟)/スズプロ/金氏徹平/河口龍夫/キジマ真紀/キムスージャ/久野彩子/スボード・グプタ/アレクサンドル・コンスタンチーノフ/佐藤貢/さわひらき/塩田千春/四方謙一/サイモン・スターリング/デイヴィッド・スプリグス/世界土協会/竹中美幸/田中信行/カン・タムラ/チームKAMIKURO/チェン・シー(陳思)/トゥ・ウェイチェン(涂維政)/中島伽耶子/中谷ミチコ/南条嘉毅/カールステン・ニコライ/Noto Aemono Project/橋本雅也/蓮沼昌宏/原広司/クレア・ヒーリー&ショーン・コーデイロ/ひびのこづえ/フェルナンド・フォグリノ/三宅砂織/村上慧/ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ/盛圭太/山本基/ラックス・メディア・コレクティブ/力五山/リュウ・ジャンファ(刘建华)/トビアス・レーベルガー(2021年7月15日時点)

 

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(更新日:2021.09.01)
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