美術作家・関川航平さんらの『5月』がはじまります。@東京・北千住「以外スタジオ」
ある時はパフォーマンス、またある時は言葉や絵。様々なアプローチで作品を介して起こる意味の伝達を考察する美術作家の関川航平さん。『雛形』で連載中の短編小説コラム「目の泳ぎ」では、視点や情景がするすると移り変わっていく独特の文章で注目を集めています。
そんな関川さんが、5月1日(水)〜31日(金)の1カ月間にわたり、『5月』を過ごします。
国立国際美術館でのパフォーマンスの様子(「あの(独奏)」2018年) photo by Kazuo Fukunaga
はじまってます、これを読む今もそうであるはずなのだけど、おそらくは4月下旬くらいでしょうか、もし喉が渇いているのであれば一度席を立って(座っていましたか)給湯室の冷蔵庫は自分の家よりも一回り小さい、屈んで冷蔵室を開ければペットボトルの水取り出して、飲んでから、戻ってきたかな?その間にも進んでいたのは会議もそうだけど、外、外には走る車、こんな場所でも昔は馬とか歩いてたんだろうけど知らない、時計で確認するっていうよりも、だってほらさっきとは違う、椅子の背もたれの角度気になって、メール返したっけ太ももで携帯のバイブ震えてポケットの上から手で押さえる、手触りは、チノパンってベージュ色多い、ベージュ色のズボンをチノパンって言うんだと思ってた知り合いは、知り合いから、骨折したって聞いたけど去年の6月から会ってないから、まだ折れて見えない、バイク乗るんだってこともその時知った、結構雨降ってたんだとさ、今これを書いている夜は降ってないけど、今そちらどうですか、紙をめくる音聞こえて、近くの人に、顔を上げたら(本当に今、顔をあげてみてください)、おーいこっちは進んでるけど、人が近くにいて顔を近づければ産毛まで見えて思ったよりも、お腹すいたと思った、少し前はお腹すいてなかったというか思ってもなかったけど、最初の馬が出てくるあたり、よりも何か変わってる?実は爪も伸びてる、爪切りの場所、絆創膏とかと一緒に置いてるはずだけど、足の爪は風呂あがりに靴下履いちゃうから、覚えていて、切れば月みたいな形で、青森寒かったな、夜はシーンとしてて、もうすぐ読み終わるから、靴の下にはカーペットの柔らかさ、革靴?スニーカー?まもなくサンダルの季節、かゆいところはないですか、白い画面に書かれたパソコンで打たれた、文字、終わります。
(『5月』ウェブサイトより引用)
5月の日差し、街の風景、すれ違う人、偶然聞こえてくる音……etc. 誰にでも訪れ、起こる5月のあらゆる出来事に、参加者各々が意識を向けてみるという趣旨で行われるこの企画。
会場は東京・北千住に新たに誕生した「以外スタジオ」(と、それ以外)。現在、『5月』のウェブサイトには、トークイベントや撮影会、お茶会など、各日行われる催しが随時更新されています。予約不要、出入り自由の内容がほとんどなので、「よくわからないけど気になる」という人は、とにかく参加してみるのが一番。関川さんらの「5月」を、ぜひ体感してみてください。
INFORMATION
会期:2019年5月1日(水)〜31日(金)会期中無休 朝から夜まで
会場:以外スタジオ(東京都足立区柳原1-32-6 出口消化器よこ、工場跡) と、それ以外
参加者:石田大祐、小野峰靖、金川晋吾、斎藤玲児、関優花、関川航平、寺本愛、堀内悠希、三島慎矢、三輪恭子 と、それ以外
入場料:無料
『5月』ウェブサイト:https://www.go-gatsu.com/