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いわさきちひろ生誕100年「Life展」 作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝/11月3日(土・祝)〜2019年1月31日(木)開催@ちひろ美術館・東京
透明感とやさしさがあふれる画家・絵本作家のいわさきちひろ(1918〜1974年)の作品の数々。それらの多くには、あどけない表情の子どもがたくさん描かれています。いわさきちひろが生涯大切に描き続けたもの。それは日々の何気ない日常でした。
東京・練馬と長野・安曇野にある「ちひろ美術館」両館では、現在、いわさきちひろ生誕100年を記念して7組の作家たちとちひろの作品がコラボレーションする『Life展』を開催中。この東京での企画展の最後を飾るのが、アーティスト・長島有里枝さんによる「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」展です。
以前「雛形」では、長島さんが2016年に神戸で滞在制作した作品を発表した個展「縫うこと、着ること、語ること。」の際にお話を伺いました。
【インタビュー:写真家・長島有里枝 “女性”という役割について考え、表現することで社会とゆるやかにつながっていく】
家族にまつわる記憶や関係性を手がかりに、自身のライフヒストリーや社会の陰に隠れてきた女性の創造性に光をあてる作品を制作してきた、アーティストの長島有里枝さん。その視点は画家であり母であったいわさきちひろの作品と響きあうものがあります。「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」では、女性に課せられる規範と折り合いをつけながら表現を行うふたりの生き方が交差します。
◎長島有里枝さんからのメッセージ
「ちひろ美術館は懐かしい。ちひろさんの絵が好きだった祖母と遠い昔に訪れていたことは忘れていたけれど、わたしの世代で、ちひろさんの絵本を読まずにおおきくなった子どもはどれほどいるでしょうか。いわば、彼女の絵に見守られて成長したようなものです。そんな自分が、母として、作家として、いわさきちひろという人に想いを馳せ、共に展示をする日が来るなんて思いもしませんでした。きっと、うれしい化学反応が起こるはずです。
私は、ちひろさんが子どもを数多く描いたのは、ちひろさん自身が子どもの心を持っていたからではないか、と思うのです。彼女が描いた子どもの多くは、大人が求める姿ではありません。その目線はまるで、自分を見ているかのように対等です。
作家であり、母であり、女性である。そういう意味で私とちひろさんには共通点がある、ともいえますが、私が最も共感を覚えるのは作家としての彼女です。好きなことを続けるには、自分を信じるしかないから、人にも寛容になれるのかもしれない。ちひろさんのやわらかさがそのようなものだとしたら、ちひろさんが“絵を描くことを深く愛した人”だったことに注目すべきだと思うのです」
会期中の11月25日(日)には、長島さんが2名のキュレーターと今回の展示について語る鼎談イベントが行われます。
【イベント「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」関連鼎談】
日時:2018年11月25日(日)15:00〜
場所:ちひろ美術館・東京(東京都練馬区下石神井4-7-2)
定員:50名(事前申し込み・先着順)
参加費:入館料のみ
講師:長島有里枝(アーティスト)、高橋朗(PGIギャラリーディレクター)、中村史子(愛知県美術館学芸員)
申し込み:「いわさきちひろ生誕100年」特設サイト内のイベント申し込みフォームよりお問い合わせください。https://100.chihiro.jp/events/1671
日常に向き合っているすべての人の心に語りかけてくれそうな企画展。ちひろ作品の新たな魅力に気づく機会にもなりそうです。
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長島有里枝(ながしま・ゆりえ) 1973年東京都生まれ。現代美術作家。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。カリフォルニア芸術大学MFA修了。2001年第26回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年、『背中の記憶』(講談社)で第26回講談社エッセイ賞を受賞。自分や家族、友人など、身近な人や品物を題材に、写真や文章、インスタレーション作品を制作している。
写真/©Masashi Asada
INFORMATION
いわさきちひろ生誕100年「Life展」
「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」
会期:2018年11月3日(土)〜2019年1月31日(木)
会場:ちひろ美術館・東京
入館料:大人800円、高校生以下無料
開館時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜(祝日は開館、翌平日休館)、年末年始(12月28日〜1月1日)
特設サイト:https://100.chihiro.jp/
問い合わせ:03-3995-0612(ちひろ美術館・東京)、03-3995-3001(テレホンガイド)