特集 “都市のたたみ方”を考える
東京R不動産が、まちづくりプロジェクトで、店舗入居者を募集中!3/16(土)トークイベント・内覧会を開催。

住まいの選び方やこだわり方に新たな視点を提案し、その選択肢を広げてきた「東京R不動産」。新プロジェクト「ニューニュータウン」をスタートさせるにあたり行ったインタビューを、雛形では3回にわたって紹介してきたが、いよいよプロジェクトが本格的に動き出す。
「ニューニュータウン」のコンセプトは、「まちに飛び込んで、楽しく使おう!」。これまでのようにひとつの物件に価値を加えるだけでなく、同じエリアの複数の物件をプロデュースすることで、自然と集まりたくなるような場のあるまちをつくろうというプロジェクトだ。その舞台となる荒川区・西尾久(にしおぐ)で、一緒にまちを楽しくしてくれる仲間を募集することになった。
文:兵藤育子
「西尾久(にしおぐ)」ってどこにあるの?
今回、「ニューニュータウン」の最初の舞台になったのは、荒川区にある「西尾久(にしおぐ)」という小さなまち。20〜30個ほどの候補地を実際に見て、最終的にこの場所に決まったという。
山手線の田端駅から徒歩15分ほどのところに位置し、都電荒川線が走るこのまちには一本の長い商店街が通っていて、自転車で走ることができないほど賑わっていた時代も。しかしながら現在は人影もまばらで、シャッターを閉じている店も多く、典型的な“寂れた商店街”になってしまっている。
しかし、住宅地としては人のつながりが残っていて、周辺に大きな開発もなく落ち着いた環境と、町工場が残ってて、少ないけど昼間には人通りがある。
商店街には、焼き鳥屋さんが併設された銭湯「梅の湯」があり、店主の栗田尚史さんをはじめ、数店舗だが、その周りににまちを盛り上げたい人がいたこと、銭湯のお客さんが多く、まちの人たちの顔が見えることが安心感につながり、それが決め手になったという。

西尾久の商店街。残念ながら、かつての賑わいは消えてしまっているが、昼間は人通りがある。
この商店街を完全復活させるのは無理だけれども、その一角にいくつかの店をオープンさせて、“顔”をつくることができたら、そこが新たなまちの中心になっていくはず……。そんな思いで始まった「ニューニュータウン西尾久」では、商店街にいくつかの店舗物件を確保。単に店を出すだけでない、このまちやプロジェクトに関わってくれる仲間を募集をすることになった。
まずプロジェクトの拠点となるのが「おぐセンター(仮)」。商店街の真ん中にあるY字路に立っているシンボリックな建物なのだが、もともとここには八百屋と居酒屋が入っていたそう。

この建物が「おぐセンター(仮)」に。地元の人は親しみを込めて「三角八百屋」と呼んでいた。八百屋だった部分と2階を東京R不動産が使用。居酒屋「パンチ」の物件は、すでに募集を始めている。(※)
4軒のうち1軒は、東京R不動産が店とスペースを運営するのに使用して、ほかの3軒を店舗として貸し出していく予定だ。「おぐセンター(仮)」が目指すのは、ふらっとひとりで入って食事をしたり、子どもが自由に遊んだり、集まって教室を開いたり、お茶をしながらおしゃべりしたりできるような、まちの人が気軽に集まれる、みんなのリビングのような場所。
※店舗物件:居酒屋「パンチ」 賃料3万7,800円(税込)
https://www.realtokyoestate.co.jp/estate.php?n=5999

みんなのリビングを目指す、「おぐセンター(仮)」のイメージスケッチ。
1軒借りてお店をやるのももちろんよし、東京R不動産が運営するお店で、たとえば業務委託のようなかたちで飲食部分を担当したり、「おぐセンター(仮)」の運営スタッフとして働くなど、可能性を狭めずにフレキシブルに考えてほしいそう。
すでにあるお店との相乗効果も期待できる!
「おぐセンター(仮)」の向かいの建物では現在、イギリス人と日本人のご夫婦がレンタルスペースを運営しながら、英語やパソコンなどの教室をしているのだが、その一角にもカフェがオープンする予定。
しかし忙しいおふたりだけでは運営が難しいそうなので、たとえば共同経営というかたちで一緒にカフェを運営したり、店長的な立場で切り盛りしたり、あるいは運営を丸ごと引き受けるなど、こちらも提案次第でいろんな形態を考えていけそうだ。

手前のスペースがカフェになる予定。
そしてカフェの並びにある銭湯「梅の湯」の前のオープンスペースでは、屋台を出す方を募集。「梅の湯」は、2016年にリニューアルオープンした地元で人気の銭湯で、銭湯以外にコインランドリーと、焼き鳥屋が併設されている。屋台の日数や曜日に制限はないが、銭湯が開く午後3時から深夜1時はお客さんがひっきりなしに訪れるのは、かなり心強いだろう。

モダンな銭湯に生まれ変わった、人気の「梅の湯」。組み立て式の屋台を貸し出すことも可。その隣の緑のひさしの物件でも、使い手を募集している。
ほかにも周辺の店舗の賃貸募集がすでに始まっているので、興味のある人、質問のある人、現地を実際に見てみたい人は、東京R不動産のウェブサイトから随時問い合わせを。
さらにプロジェクトの仲間を募集するにあたって、3月16日(土)に「梅の湯」を会場にトークイベント「店が掘り起こすまちの価値」を開催。ゲストは京都でタブーとされていた地域・崇仁(すうじん)地区に屋台村「崇仁新町」をつくって、まちのイメージを一新させた、株式会社walks代表の小久保寧さんと、茅ヶ崎、大崎などで地域に必要なコミュニティ・カフェを運営する、株式会社WAT代表の石渡康嗣さん。地縁のない地域に飛び込んで、地域を生かしたり、生かされたりすることについて、幅広く語っていただく予定だ。また、トークイベントの前後には、西尾久のまち案内と物件内覧会もある。
「ニューニュータウン西尾久」に関わることに興味のある人はもちろん、自分のお店を持ちたいと思っている人には大いに参考になるはず。さらには、西尾久に足を運んで、まちの雰囲気を肌で感じる絶好のチャンス! ほんのちょっとでも気になっている人は、ぜひとも問い合わせを。
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3月16日(土)トークイベント「店が掘り起こすまちの価値」
ゲストプロフィール
小久保 寧さん
1985年生まれ。2008年にヤフー株式会社に入社。総合事業企画室・事業戦略を経て 2014年に制作会社noun productionを設立。“新真視点” をテーマに、コンセプトメイキングから空間・映像・WEB・デザインなど、制作・プロデュース活動を実施。2017年にエリアプロデュースの専門会社 walksを設立。新潟・沖縄・京都など拠点を移しながら地域密着型でホテルや商業空間などのエリア開発を実施。現在は京都を拠点に、空間・エリアプロデューサーとして社会的、地理的課題を持つエリアの開発を中心に活動中。
石渡康嗣さん
1973年生まれ。数々の飲食店の企画運営に携わった後、2013年に株式会社WATを設立。三軒茶屋・蔵前などの〈Coffee Wrights〉、ひばりヶ丘団地の〈COMMA,COFFEE〉、大崎〈カフェ&ホール アワーズ〉、下北沢〈ロンヴァクアン〉など、街にとって必要な場としての飲食店やコミュニティスペースなどを運営。その他の実績に〈ブルーボトルコーヒー〉や〈ダンデライオン・チョコレート〉の日本展開プロデュース・マネジメントなど。話題の千葉県大多喜町のボタニカル・ブランデー蒸留所mitosaya〉にも参画。
日時:3月16日(土)13:00~14:00(12:30開場)
場所:「梅の湯」(東京都荒川区西尾久4-13-2)
定員:30名
参加費:無料
参加方法:事前予約制(先着順)
申し込みページ:https://newnewtown0.peatix.com/(Peatixサイト)
イベント「まちの案内と物件内覧会」
日時:2019年3月16日(土) 11:00~、14:30~
場所:「おぐセンター(仮)」(東京都荒川区西尾久2-31-1)
参加方法:自由参加。開始時間に、上記の住所にお越しください。
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「ニューニュータウン西尾久」参加者募集中!
問い合わせ先:
https://www.realtokyoestate.co.jp/nntn0
※ページ下に「問い合わせフォーム」があります。

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