COLUMN
ともだちの地元

行き先は、ともだちの地元。
遠くに暮らすともだちに、ひさしぶりに会いにいく。
地図も携帯電話も必要なし。
案内人のともだちの隣で、一緒に過ごした頃の話しをしながら、
ゲラゲラ笑って歩き回ろう。
はじめて訪れる土地。はじめて聞く話。相変わらずの性格。
あの子の生活がある街。
梅佳代、カメラを持ってともだちの地元に行きます。

イラスト:BIOMAN

vol.3 福井の和田さん

梅雨空おかまいなし、ピカーンと晴れた小松空港に降り立った梅さん。電車に1時間ほど揺られて会いに行くのは、日本写真映像専門学校時代の友だちで、今は福井に暮らす和田さんです。
坂井市丸岡町で60年以上続く「和田写真館」の娘。梅さんいわく、“専門時代の友だちは、全員がイモ(田舎っぺ)で、ダサくて、妖怪”。無敵の個性を放つ、奇跡的に出会った青春の友だち。

 



同じ寮に住んでいた和田さん。

私が2階で和田さんが5階。
寮で自己紹介のときに
好きな芸能人を聞かれて
「DA PUMPとSPEED」って
すごく訛って答えてた。

訛りを文字で書くと
だぁぱぁんぷとすぴ~どぉ~。

学校の帰り私に、
「うめさぁん、訛りすぎなんやって~」
ってすごい訛って言ってきてもめた。

私の部屋で金八先生を見て泣いた。 (梅佳代)

 

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和田さん梅さん5年ぶりの再会の瞬間


梅「うわっ! 和田さんや! ハズい! あせるっ!」

 

和田「めっちゃ久しぶりやねー!梅さん、なんかでかくなってない?身長! 」

 

梅「伸びてない!もともとでかいよ」

 

和田「やっぱり声こもってる~。相変わらずやの」

 

梅「それ!(笑)18歳の頃からずっと言ってるやつだ。和田さん以外誰にも言われたことないけど」

 

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和田「よし、まずは私の夜のウォーキングコース行こっさ!」

 

梅「ええ〜!なんか淋しいコース!(笑)」

 

和田「なんで!いいが~。ほら、あの屋根見える?丸岡町のシンボルであり、私の大好きな丸岡城でございます」

 

梅「平日のこの時間だから?誰もおらんね……夜ひとりで歩いて怖くないの?」

 

和田「全然。たまに居合わせたカップルにびっくりされるけど」

 

梅「(笑)毎日どんな気持ちで歩いてるん? 無の気持ち?」

 

和田「なんでよ(笑)!音楽聴いたりね」

 

梅「DA PUMP?」

 

和田「ちがう!(笑)」

 

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和田さん自慢の丸岡城とツーショット

 

 

和田「みなさん!日本で一番有名な女性カメラマンの梅佳代が写真撮ってくれまーす!」

 

梅「ちょっとほんっっとに、やめてやーー!!!」

 

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郵便局長の提案したポーズでパチリ

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和田さんのお父さんが突然紹介してくれた近所のきむらさん

和田さん父撮影のお気に入りの1枚を持って。サイン入りで梅さんにプレゼント。

和田さん父撮影のお気に入りの1枚を持って。サイン入りで梅さんにプレゼント

 

和田「あ、ここ緑幼稚園。私が通ってたとこ。園長先生が梅さんの大ファンやよ。お父さんが梅さんが丸岡に来てることを話したら、めっちゃ会いたいってさ。ちょっと行こうー」

 

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子どもたちにベロベロ〜といって、いい表情を引き出そうとがんばる和田さん父

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梅「和田さんのお父さんめっちゃすごいやん! 子どもたちに『蛇だぞ〜!クマだぞ〜!』って、言いながらベロベロ〜って一生懸命子どもたちを笑わせて」

 

和田「私もたまにびっくりするけど」

 

梅「爆笑しずぎて写真撮れんかった。匠の技をみたわ」

 

和田「まあいつもあんなんやわ。これから地元の中学校の卒業アルバムの撮影に行くよ」

 

梅「働く和田さんやー!」

 

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和田「お!イケメン〜〜〜」「キマってるね〜〜!」「うん、いい感じ!じゃあ次は歯が見えるとどんな顔〜?」

 

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卒業アルバム用の個人写真を撮る和田写真館の和田さん

 

梅「小さな専門学校だったから、学科は違うけど、よく会ってたよね。大体みんなイモだし。ダサいし。だからよかったんだけどね。特に同じ寮の4人はマジでやばかった(笑)。周りからも『あの寮には普通の人がひとりもいない』って言われてたから。奇跡の出会いだよね」

 

和田「あはは!確かに際立ってイモだったかもしれない」

 

梅「和田さんの訛り方ハンパなかったし」

 

和田「それ梅さんに言われたくないわ〜〜〜」

 

梅「でた!この戦い!(笑)。学校にいろんな有名人が先生として来たよね。私たちは会えなかったけど、北野武とか」

 

和田「そうそう!めっちゃ覚えているのが、宍戸開」

 

梅「そーーーーやーーー!!!」

 

和田「私が、リポビタンDにサインを書いてもらおうと思って渡したら、いきなりガッとキャップ開けて飲みだして、『ファイト一発!』(笑)。私はサインを書いて欲しいだけだったのに〜。空ビンは、そのあとちょっとの間だけとっておいたけど」

 

梅「それ、とっておいたんや(笑)」

 

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卒業アルバム用の音楽会の写真を撮る和田写真館の和田さん

 

 

和田「今日の夜はフットサル!これも近所の体育館でやってるよ」

 

梅「和田さん、まじで少年やろ!(笑)」

 

和田「今日は、梅さんに会わせたい写真友だちが来てくれてるのよ。近藤さーーーん!」

 

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趣味のフットサルの練習

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福井のおすすめ観光スポットをプリントアウトしてもってきてくれた和田さんの友人の近藤さん

FH010036 のコピー

和田さんと近藤さんの友情記念写真

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和田さんの活躍を撮影する近藤さん

 

和田「昔、田んぼにホタル撮りに行ったら、そこに近藤さんもいたの。それが出会いかな。そういえば皆既月食も一緒に撮りに行ったりしたな。そして近藤さんは呉服屋さんの店主です」

 

梅「和田さん……福井来てから登場人物がハズレなしやね。次から次へと!アタリしか登場してこない」

 

和田「そやろ、私の行動範囲は丸岡町内やけど、けっこう濃いかもな」

 

梅「めっちゃせまい!濃い!最高だね(笑)」

 

和田「やっぱ、今は地元密着でしょ」

 

梅「でも和田さんさ、お父さんと二人で写真館の仕事をがんばっててえらいよ、お父さんにすごく優しいしね。すごいよ」

 

和田「そうかなあ?」

 

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和田写真館のカメラマン、3代そろいました

 

 

和田「寮に住んでた時さ、帰ってきて自分の部屋の扉開けた時の“むわぁ〜”っとした感じ、今でも覚えてるな」

 

梅「和田さん、私の部屋で金八先生を観て泣いてたよね」

 

和田「やわらちゃんが金メダルとった時も一緒に観て泣いたやん(笑)」

 

梅「そうや(笑)。ほんま意味わからん、私の部屋に入り浸っててん。あとさ、和田さんが寮から引っ越すとき、みんな集まってきて、みんなで泣いたよね(笑)」

 

和田「あーそうそう(笑)。私が寮の中で一番先に出て行くからって、みんな会いにかけつけてくれたんだ。お父さんが迎えに来てくれて、車で福井に帰ったな」

 

梅「よくわからんけど、みんなで悲しくなったんだ……なんか記憶戻ってきたわ!」

 

和田「脳トレやね」

 

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「福井の和田さん」おわり

 


 

次回も引き続き福井編をお届けします!もうひとり同じ寮時代の珍友“前田”が登場し、みんなで温泉へゴー。梅さんと和田さんが声をそろえて「前田はヤバい!」という、イモお墨付き(?)の前田さん。30代半ば女子のカオスな福井旅がはじまります。

INFORMATION

和田写真館
住所:福井県坂井市丸岡町西瓜屋15-4
電話番号:0776-66-1681

 

学校法人丸岡栄光学園 緑幼稚園
住所:福井県坂井市丸岡町霞町1-5
電話番号:0776-66-1194
http://midoriyouchien.main.jp

撮影:和田佳代子

子どもたちにとっては、どうでもいい梅さんとの記念撮影(緑幼稚園の佐藤園長先生が梅ファン)

撮影:和田佳代子

撮影:和田佳代子

 

和田「昔からの友だちが有名になって遊びに来てくれるなんて、うれしいし、誇らしい。これからも何かあった時は梅さん呼ぼうー(笑)。これで和田写真館も安泰やわ」

 

ともだちの地元
梅佳代

梅佳代/写真家。1981年、石川県生まれ。2007年、写真集『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。以降主な写真集に『男子』、『じいちゃんさま』、『ウメップ』、『のと』、最新刊に『名人』を刊行。共著に新明解国語辞典×梅佳代『うめ版』などがある。日常に溢れる様々な光景を独特の観察眼で捉えた作品が国内外で高い評価を得ている。

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