ある視点
行き先は、ともだちの地元。
遠くに暮らすともだちに、ひさしぶりに会いにいく。
地図も携帯電話も必要なし。
案内人のともだちの隣で、一緒に過ごした頃の話しをしながら、
ゲラゲラ笑って歩き回ろう。
はじめて訪れる土地。はじめて聞く話。相変わらずの性格。
あの子の生活がある街。
梅佳代、カメラを持ってともだちの地元に行きます。
イラスト:BIOMAN
vol.2 おとな男子(繁華街編)
かつて暮らしていた街、そして写真集『男子』の舞台でもある大阪で、約10年ぶりに男子たちに再会した梅さん。
時の流れを感じながら、あれこれ妄想して来たものの、いざ会ってみれば、みんなあの頃とまったく変わっていない。
vol.01では、当時のようにふざけながら通学路を歩き回った梅さんと男子たち。日も暮れたところで“おとな”らしく、繁華街に繰り出そうではないですか!(仕事おわりのみつやくんも合流!)
あの頃は一切踏み入れることのなかった大阪の街中へ。 男子たちに連れられて、ぶらぶら歩きながら、最後はお酒もご一緒に……おとな男子、楽しいぞ!
男子「小学生の時は、学区外になんて出られなかったから、まったく来なかったよな。今もよく同窓会やってるんやけど、いつもここら辺でやっとるよ」
梅 「そうなんや〜! 仲良しやな〜! ほほえましい」
男子 「ほんまにみんなキャラ濃かったよなあ」
梅 「ね、漫画見ているみたいだったよ。しかもみんな個性はバラバラなのに、仲良しっていうところもいいよね」
梅 「でた! グリコ! はいっ並んで!」
男子 「かっこよく撮ってや!」
男子 「よし! 飲みに行こう〜〜」
梅 「やっば! 信じられん!」
男子 「東京からわざわざお越し下さった、うめかよさんと乾杯しようじゃないですか!」
みんな 「かんぱーーーい!!」
男子 「そういや、みつやの家の晩飯、5時からやったよな(笑)めっちゃ早かってん」
男子 「うん、だいたい4時半からで遅くても5時やった」
梅 「そうそうそう(笑)! 公園で私としゃべってた時、時計見て4時になったら『ヤバイ、ヤバイ』って言い出して。全員一気にチャリで帰っていった。やんちゃやのに、お母さんの言うことはちゃんと守るのね〜、子どもなのね〜って思ってたよ」
男子 「だって、お母さんめっちゃ怖いもん」
男子 「うめかよがカメラの学校通っているのは何となく知ってたけど、おれらが写真撮られてることとか、まったく意識してなかったな。ただ一緒に遊んでた感じ」
梅 「誰かに『ねえ、どこの中学なん?』て聞かれたことあったわ(笑)」
男子 「でも出来上がった写真集を見たときは『おお〜すごい!』って思った。ほんまにこんなんできたんやなあって。写真集作る、って言ってたから、実現させたんやなって」
男子 「俺たちこんなことやってたんや!? ってびっくりしたよな(笑)」
男子 「みんなも感じていると思うけど、こうして10年以上経っても、うめかよがまったく変わっていなくて本当にうれしいよね」
梅 「みんなも変わってないよー、大人にはなったけどね」
男子 「自然体なうめかよがすごくいいよね。これってうめかよじゃないと絶対撮れない写真だと思う」
男子 「……なんやねん、改まって! ちゅーかその東京弁はなんやねん! 就職名古屋やろ。東京でもないくせに! 関西弁でしゃべれ! 違・和・感!」
梅 「私でさえ感じてたわ(笑)! でも18歳の時に、みんなの写真をコンテストに出した時からすべて始まっているから。そこでアラーキー先生に褒めてもらえて、もっと撮りたくなったんだよ」
男子 「引きが強かったな!」
梅 「お互いね」
男子 「ウィンウィンやな」
「おとな男子」おわり
●うめかよひとこと●
男子たち、おとなになって写真で見たら「だれ?」ってかんじやね。
私はだれとおるんやろって思ったよ。
みんなかわいい。
『男子』梅佳代
リトルモア|2,052 円(税込)
写真専門学校時代に近所で出会った小学生男子たちを捉えた写真集。彼女の圧倒的パワーと溢れんばかりの魅力が凝縮されています。
梅佳代にしか撮れない、誰もが知っている「男子」の季節。わすれがたきバカ時代。
比類なきウメカヨワールドが堪能できる1冊。
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梅佳代
梅佳代/写真家。1981年、石川県生まれ。2007年、写真集『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。以降主な写真集に『男子』、『じいちゃんさま』、『ウメップ』、『のと』、最新刊に『名人』を刊行。共著に新明解国語辞典×梅佳代『うめ版』などがある。日常に溢れる様々な光景を独特の観察眼で捉えた作品が国内外で高い評価を得ている。
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