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書籍『サムガールズ』関連トークイベント|平成ノブシコブシ・徳井健太×シソンヌ・じろう×ライター我妻弘崇

東京都
今年8月に書籍化されたシソンヌ・じろうさんの妄想小説『サムガールズ あの子が故郷に帰るとき』(ヨシモトブックス刊)の関連イベントが、先月、東京・下北沢の本屋B&Bで行われました!

お笑い芸人の平成ノブシコブシ・徳井健太さん、シソンヌ・じろうさん、ライターの我妻弘崇さんによる、「『妄想』を『仕事』にすると『お金』になるのか」と題したトークイベントは、前後半含めたっぷり約2時間半! テーマから度々脱線しつつも、芸人さんならではのウィットに富んだ切り返しで転調に転調を重ね、最後にはハッと心を打たれる人生の哲学めいた名言が飛び交う内容になりました。当日の様子をお伝えします!

新たなサムガールズ&偉人の写真で
即興妄想!

徳井さんとじろうさんは同じ吉本興業の先輩と後輩の間柄で、麻雀やパチンコといった共通の趣味もあって仲のいい芸人仲間。また、この日の進行役を務めたライターの我妻さんも元芸人で、徳井さんとはNSC(吉本興業の養成所)の同期だったことから今回の企画が実現したそう。事前打ち合わせなしで始まったトークは、徳井さんとじろうさんが嗜む麻雀の話に始まり、我妻さんが見つけた“サムガールズ”の写真を見ながら、即興の妄想大喜利へ!

我妻弘崇(以下、我妻):えーと、2人とも麻雀の話はそのへんでもういいです(笑)。そろそろ今日の本題のひとつ、“妄想”について話を聞きたいです。じろうさんは今回、妄想小説『サムガールズ』を出したわけですが、やっぱり普段から妄想はよくするんですか?

シソンヌ・じろう(以下、じろう):そうですねー、まあ妄想というか人間観察というか。しようと思ってしてるわけではなくて、無意識にしてる……って感じですかね。

平成ノブシコブシ・徳井健太(以下、徳井):だってシソンヌのネタはそういう(妄想)ことだもんね。まあ、でも芸人はみんなめっちゃ人間観察してるよね。俺ら偏見の塊だからね。“ショートカットの子は変わってる”とか。何かしらの主義主張を感じるよね。俺が割とショートカットの子にモテるのもそうだし、さっき下北のサブカル聖地・ヴィレッジヴァンガードに行ったけど、8割の女の子が髪短かかったもんね。

じろう我妻:ははははは(笑)。

じろう:ちなみに徳さん、この本の企画(『サムガールズ』)の内容を説明すると、毎月知らない女の人の写真と、名前、居住履歴だけが送られてきて、それだけを見てその人の人生について書くっていうものだったんすよ。

徳井:へぇ〜なるほどね。だからドラマとか映画の脚本とかもやりやすかったんだ。

じろう:どうなんすかね〜。でも確かにずっと書いてましたね。

我妻:今日は2人にこの場で妄想をしていただきたいと思って、写真を用意しました。こちらで妄想お願いします!

 

我妻:先日中国に行ってきまして、そこで気になるこちらの“サムガールズ”がいたんです。これ、どう思いますか?

じろう:どうって言われても、後ろ姿で顔も見えないし……(笑)

徳井:これ、直美(渡辺直美さん)の可能性もあるよね。

じろう:確かに! こういう服着てそうですよね。

我妻:僕は“バックベアード”(漫画『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる西洋の妖怪)に見えて、落ち着いて食事ができなかったですよ。

実は、過去の伝説や偉人にも、妄想の力で世界に影響を与えている例があるんですよ。例えば、中世の拷問器具として知られるアイアン・メイデン。あれは、もともと小説の中に登場した道具だったものが、読んだ人の間で「本当にあるのでは」と探す人が増えてきたことで観光商品として作られたという説があります。架空のものが、さも昔からあったかのように塗り替えられた例ですね。ほかにも、ノーベル賞を2度受賞した科学者・キュリー夫人はラジウムを“害があるわけがない、美しいものだ”と盲信して素手で触ったり、ラジウム入りの化粧品を作ったり。進化論を提唱したダーウィンは、極度の被害妄想癖があったらしく、そのせいで身体にかなり支障をきたしていたそうです。

徳井:あるんだろうね、そういうの。世の中のダイエット法とかもさ、朝だけ食べる、夜だけ食べるとか、もういろんな説がありすぎじゃん。何を信じるかによって変わってくるんだろうね。

我妻:「信じるものは救われる」というのはありますよね。だから、決して妄想は悪いものではない。

徳井:信じられるものがない人は辛いよね。自分を信じるか、金を信じるか、そうでない人は好きな人、家族、宗教とか。じろうは何を信じてる?

じろう:神さまを信じてます。

徳井:え! そうなの!? 何系?

じろう:我流です、我流(笑)。神さまというか、運命を信じてるんすよ。全部決まってると思ってます、この先起きること全部。僕、いっつもお祈りしてますもん、いろんな神さまに。飛行機乗るときは必ず、「乗客乗務員、全員無事に辿りつけますように」って。1人でもそう思ってる人がいたら事故らないと思うんすよ。

徳井:さすがだなー、じろうは。開祖だよ、開祖。世界中がお前みたいな人になったら戦争もなくなるんだけどな〜。

じろう:でも、そう考えると楽ですよ。全部運命だと思ったらどれだけイヤなことが起こっても、もう決まってたんだから仕方ないと思って次に行けるし。それに、人間の運の量も決まってると思ってます。もともと多い人もいるとは思いますけど、なんか良くないことが起きると、このあとは良いことが起きるって思えるし。結局それでバランスが取れてると思ってますね。

徳井:俺も“運”について科学的に考えたことがあって。相方の吉村はすべてにおいてついてるんだよ。競馬で三連単一点買いを34回当ててるんですよ。これまで競馬やったことあるの20回くらいだよ? おかしいじゃん? 俺はこれだけギャンブルやってて1度も勝ったことがない。なんでこんなに違うんだろうって考えて腑に落ちたのが、俺たちの人生って、たかだか80年くらいじゃない? もしも1億年生きることができたら全員の運が平均になると思う。吉村は今たまたま運がいいけど、500歳くらいのとき絶対運が悪くなるはず。俺は9000万歳くらいになったら、すごくついてると思うんだよねー。でもそこまで生きられないから、ついてないまま死ぬんだろうけど。

じろう我妻:ははははは(笑)。

妄想を健全に生かす術とは?

後半は、お笑いの世界で生き抜く徳井さんとじろうさん、それぞれの仕事への向き合い方についての話題に。先述のように、妄想はネタづくりのベースのようなもの。実体のない妄想を仕事にしてお金を稼ぐという特殊なお笑いの世界を、2人はどのように見ているのでしょうか。

我妻:僕は芸人をドロップアウトした側で、妄想、つまりお笑い、好きなことを仕事にすることができなかった。今はライターとして、現実的なことを記事化してアウトプットしているので、どちらかというと妄想と仕事を切り離しているんですが、お二方は完全に妄想の世界に住み続けてますよね。

徳井:うーん、まあ確かに浮世離れてはいるよね。じろうって、今までに何本くらいネタ書いてるの?

じろう:えー、どうだろう……300本くらいですかね?

徳井:すごいね!

我妻:じろうさんは何をきっかけにネタを書き始めるんですか? 日常生活の中で気になったことを集めてるんですか?

じろう:普段から目にしたものや気になったことをバーっとメモに残してますね。そこから思いつくことがあるんで。僕らのネタってすごい単純なシステム。みんな自然と物事はこうなっていくだろうなっていう常識が頭の中にあるじゃないですか。その逆をいくと、それがお笑いになるっていう。

我妻:僕が今気になっているのは、「コントだけで食べて行くっていうのは妄言なのか」ということ。実際に、今シソンヌさんは全国47都道府県を回るコントツアー「モノクロ」をしてますよね。公演時間60分、料金2500円、衣装の着替えなし、照明は地明かりのみ、っていうかなり割り切った内容。これって斬新な試みですよね。じろうさん的には、コントだけで食べて行けたら最高だと思ってる?

じろう:そうですね。コントをやりつつ、今はやっぱりまだそれだけじゃ食えないので、脚本とかコント以外のこともやらせてもらって……。

我妻:どの業界でも、“日本一”っていう肩書きがあるのにそれで食えないアスリートとか結構いるじゃないですか。それって社会構造的にどうなの?って思うわけです。シソンヌさんも「キング・オブ・コント」で優勝してますが、実際に今のようにコントを続けていけば、食っていけるという手応えはあるんですか?

じろう:まさにコントだけで食べてる東京03さんという最高のモデルが近くにいるので、まあ不可能じゃないと思ってます。

我妻:確かに。ただ東京03さんはテレビにも結構出てますよね? シソンヌさんは舞台中心。この間、テレビのネタ番組にシソンヌさんが出てたときに、「あまりオファーがこない」って言ってましたよね。すごく意外だったんですが、実際そうなんですか?

徳井:そうだろうね、俺はわかる。コントの番組だったらじろうを呼べば確実におもしろい。でも若手芸人が横一列に並んだトークにじろうが出ても、じろうは前にいけないから。呼ぶ方も呼ばれる方もお互いプラスじゃない。だから、ドラマとか脚本とか、じろうがプラスになる仕事はくるんだろうし。クイズ番組とか、絶対興味ないだろ?

じろう:ははは。普通に答えるだけならいいですけど、確かに「よっしゃー!」とか、テレビ向きのやつできないですね。カンペとかもすげー嫌々読んでるんですよ(笑)。言わされるのが嫌。自分の思ってる言葉で話したいんで。

我妻:なるほどー。で、話を戻すと、こうした妄想を健全に生かすために何が必要か。会場には“妄想=好きなこと”を仕事にしたい人たちもいると思うのですが、何かアドバイスはありますか?

じろう:でも僕、そこに関してはすごく簡単なことだと思うんですけど、やりたくなかったらやらなきゃいいだけ。別にどれだけ貧乏でも、結局やりたいことをやってるのが一番の幸せだと思う。

徳井:愚者だな、じろうは。10人じろうみたいな人がいたら、9人は死んでるよ(笑)。じろうみたいにやりたいことが明確なやつはいいよね。俺はまだ見つかってないからさ、これっていうものが(笑)。しいて言えば、漫画家の蛭子さんみたいになりたいよね。だからまぁ俺はオススメしない。芸人の9割が地獄に落ちていくところを見てきたし。本当にやりたいことはやらないほうがいい場合もあると思う。

じろう:もちろん、やりたくないことを我慢してやってる人たちや周りの人の支えがあって、自分たちが好きなコントできてるっていうのはわかってるんですよ! だから自分に関わってくれてる人にはみんな幸せになってほしいというか。だから僕、「あなた必要ないです。お客さんいないです」って言われたら、すぐ芸人辞められます。速攻で地元の青森に帰りますね。

我妻:やりたいことをやるってなかなかできないですよ。だからじろうさんの言葉は哲学ですね〜。そろそろ終わりの時間が迫ってきたのですが、妄想力ということで、徳井くんの“フリスクの話”をぜひ聞かせてください。

おそるべし“フリスク”の魔法!

トークの最後は、徳井さんが自身の妄想力で救われた“フリスクの話”が披露されました。一見ふざけているようで、聴いてみると、まさに妄想力、信じる力で救われたお話! 落ち込んだときに試してみたくなるはず!

徳井:今日この会場に来てる人はおおよそ心を病んだことがある人だと思うんだけど(笑)、フリスクはそのときの対処の仕方。

平成ノブシコブシがM-1グランプリ(以下、M-1)に出てた頃、M-1に出るためのネタを作ってて、正直全然自分たちらしくなくてつまらなかった。吉村と毎日のように言い合いをして、本当に辛くて辛くて……。心療内科に通うか芸人を辞めるか、どっちかしかないって考えてたときに、ふと俺はフリスクを手に取るのね。

1粒手に取り、鏡の前に立って、「俺はこれを食べたら覚醒する。この薬は警察に捕まるし、食べてるところを見られちゃいけない」って、毎日20分間唱えてから食べる。それ以来、ライブとかテレビで辛いって思ったときはトイレに駆け込んで、隠れてフリスクを1粒食べると、フワッって覚醒するようになったんだよ! 自分の合法ドラッグを手に入れたってこと(笑)。だけど、だんだん仕事が楽しくなってきて、M-1を狙わなくても自分たちらしく振る舞えるようになってきて、フリスクのことを忘れてた。ある日、何気なくフリスクを食べたらものすごくまずく感じて。あのときの味がしてウエー!って吐き出した。そう、解毒したってこと。みなさんもぜひ、フリスクの覚醒、試してみて(笑)。

じろう:はははは。すごいっすね〜!

我妻:フリスクがまずく感じたとき、ちょうどテレビで跳ねたんだよね。

徳井:跳ねたからあの薬物から抜けられたよね、危なかったわ〜フリスクを山のように食べるところだった(笑)。まあ辛いときはあるよね、人間誰しも。

我妻:じゃあ最後に、お二人から一言ずつ今日の総括を。

じろう:えーと、みんなあんまりイライラしないで、ニコニコするのが一番いいと思います。

徳井:そうだな、本当に。最近読んだ仏教の本で、えらいお坊さまが言ってたわ。「貧乏を楽しめる人になりなさい。不幸せなときを楽しいと思える瞬間が大事なんだよ」って。本当にな〜む〜だったよね。不幸なこともいい経験だなーってね。

じろう:本当に貧乏だった頃が一番楽しかったですもんね。

徳井:じゃあ次にトークする機会があったら、不幸せな話いっぱいしよっか(笑)。

【PROFILE】

徳井健太/とくい・けんた
1980年北海道生まれ。2000年、NSC東京5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。ツッコミ担当。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2010年、『(株)世界衝撃映像社』の「ホームステイin部族」ロケ企画にて無茶苦茶な言動が注目を集めたことで、『ピカルの定理』レギュラーに抜擢。以後、一般に広く認知されコンビとしてブレイクする。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。フリーペーパー『TOKYO HEADLINE』で「徳井健太の菩薩目線」を連載中。


じろう

1978年青森県弘前市生まれ。2006年4月に結成したシソンヌのボケ担当。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。NSC東京11期生。2014年第7回キング・オブ・コント王者。演技力の高いコントを得意とする。執筆業は雑誌コラムのほか、ドラマ 『卒業バカメンタリー』(日本テレビ系) 、映画 『美人が婚活してみたら』(2019年公開予定)の脚本を担当。現在、47都道府県ライブツアー「モノクロ」を展開中。著書に“川嶋佳子”名義で日記小説として書籍化した『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA)、『サムガールズ あの子が故郷に帰るとき』(ヨシモトブックス)がある。


我妻弘崇/あづま・ひろたか

1980年生まれ。北海道帯広市生まれ、東京都目黒区育ち。日本大学文理学部国文学科在学中に、NSC東京5期生として芸人活動を開始。大学を中退し、約2年間の芸人活動を経て、いくつかの編集プロダクションを渡り歩いた後、本格的にフリーランスのライターに。著書に『週末バックパッカー』、『お金のミライは僕たちが決める』(ともに星海社新書)。現在、『BUBKA』『週刊女性』『東京HEADLINE』『食べログマガジン』『現代ビジネス』など紙、WEB、広告問わず、幅広い媒体で執筆している。今年、徳井氏と約15年ぶりに再会する。

文・木下美和

今年の大晦日は青森・弘前に集合!
『サムガールズ あの子が故郷に帰るとき』
シソンヌ・じろうさんサイン本&
特製ポストカードお渡し&ツーショット撮影会!




 


12月31日(月)の大晦日に、じろうさんの故郷・青森県弘前市で『サムガールズ』の出版記念イベントを行います! 弘前市内の対象2店舗で本書をお買い上げの方を対象に、サイン本&題字と挿絵を描いた漫画家・堀道広さんの特製ポストカード&じろうさんとのツーショット撮影というトリプル特典付き! 地元の方やお近くの方は、ぜひ足をのばしてみてください!

日時:20181231日(月)12:00〜、14:00
場所:TSUTAYA弘前店特別会場(青森県弘前市大字高田2-1-1) 紀伊國屋書店弘前店特設会場(青森県弘前市土手町126 弘前パークホテル1

上記2店舗で『サムガールズ』を購入した方を対象にイベント参加整理券を配布します。当日は購入した本と整理券を忘れずにご持参ください。整理券はなくなり次第終了となります。

1冊購入につき、特製ポストカード1枚付き。ポストカードは2店でデザインが異なります。ブルーが12:00からのTSUTAYA弘前店、ピンクが14:00からの紀伊國屋書店弘前店です。



 

※じろうさんとの2ショット撮影は、スタッフがお客さまのカメラ、スマートフォンなどで撮影します。2ショット撮影以外での写真及び動画撮影はお断りします。お客さま1名につき、整理券1枚が必要です。

整理券の紛失に伴う再発行は一切いたしかねます。また、お客様のご都合により当日イベントに参加できなかった場合、ご購入済の書籍の払い戻しはいたしかねます。サイン本のお取り置きなどもいたしかねますので、あらかじめご了承ください。

問い合わせ:TSUTAYA弘前店TEL0172-27-2357)、紀伊國屋書店弘前店TEL0172-36-4511

(更新日:2018.12.25)
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