COLUMN
団地のはなし

vol.6 大人になった夏目、団地って変だよなあとかいや普通だろとか考えるの巻

 

バンドでツアーに出てたんですけど、各地で「団地コラム読んでますよー!」って結構言われました、いやあ嬉しい限り。

 

あと、最近団地出身者からよく声をかけられます。

 

「団地ってほんとそれぞれ個性があって自分の団地に当てはまらないこともあるわあ」っていう感想多いです。団地、とひとことで言っても、いろいろあります。このコラムはローカルがテーマだから、いろ~んなタイプの団地を比較して「団地論」をやるつもりはないですけど、自分が住んでいた団地とは違う団地について話を聞くと、その特殊性に気がついたり、団地出身者がもってる共通性・共通意識(仲間意識といってもいいかも!)を感じたりもしました。

 

例えば、整列して同じカタチの建物が並んでいるタイプの団地より、「道が曲がりクネって草木や公園もすっごいある一つの集落みたいな団地の方が、住民のコミュニケーションは活発になるかもねえ」とか……まあそういう「お前環境デザインでもしたいのかよ」というつっこみがきそうな、ひらめき。団地出身じゃない人にとってはどうでもいいかもしれない、気づき。

 

もうひとつ、心に残ってる気づき。

 

僕が住んでいたハイタウン塩浜は、隔離された特殊な環境に置かれてましたから、子供たちはご近所づきあいにおいて、ひとまず団地外のことは考えなくていいんです。少しは団地外とのつながりもありますが、あくまで団地内での関係性が最重要で、団地に住んでいるってことは「普通のこと」として生きていきます。小学校も団地の中にあるし。「団地に住んでいる」ってことをいちいち考えて生きていない。

 

でもそれほど大型ではない、町の中の一画にある6棟くらいの小さい団地の場合は、団地内と外、両方の関係性の中で生きていくことになりますよね。学校には団地の子もちがう子もいるだろうし。そうなるとあんまり無邪気じゃいられないというか、子供心に「団地に住んでる」ってことが「ちょっと周りと違うな」っていう意識のパターンもあるんだなあってことを最近知りました。

 

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よく思い出すんですけどね、中学生になって塾に入った時に、新しくできた違う中学の友達にいつものノリでちょっかいかけてたら、その子が「あんな酷い奴(僕のこと)とは勉強できない」って塾をやめちゃったことがあったんですよ。その時は「なんで俺が怒られるんだ?」ってわかんなかったんですけど、後から聞いたら、コミュニケーションがちょっと土足すぎたっていうか、僕ん中ではオッケーだった踏み込んでいいところもその子にとっては、ていうか一般的にはNGだったんです。

 

「塾でこんなことあった〜」って母親に話すじゃないですか。そしたら「あんた昔っから仲いい子と同じ感じで誰とでも接せられるわけじゃないわよ」って言われたことをすごくよく思い出すんです。思い出すにつけ僕は悩むのです。これは生まれた環境がそうさせたのか、団地どうこうではなく僕が馬鹿だっただけなのか……おそらく後者……。

 

だけど(いいわけしたいわけじゃないですよ)、団地に限らずちょっと隔離された環境で育ったっていう人と話すと、こういう話をよく聞くんです。どうやら育った環境によって、人との距離感の取り方って違う。外に出ると、いったんそれを外用に矯正しないといけない。

 

東京の高校に入っても同じようなことがあって、僕ら幼稚園から中学卒業まで変わらない場所・変わらないメンツで過ごしてますから、口が悪いみたいなんですよね。笑えるネタだと思って「お前そのスニーカーださいなあ!」って言ったら「え! そんなこと言うの!?」みたいな顔をされて、「ああ、こういうのダメなんだな東京では……」って強く思った記憶あるんです。

 

今考えると、まあわざわざそんなこと言う必要もないすよね。ないっていうか、ただただひどいですよね。これも団地どうこうっていうか僕が馬鹿だったってことでしょうけど、中学んときはそんな会話しかしてなかった記憶が……。

 

 

話しそれました!

 

 

団地、いろんなタイプがあれど団地出身者は自分が団地出身であることをアイデンティティーのひとつにしてる気がします。そこは共通点かな。

 

団地で無邪気に生きてても、嫌だなあって感じだったとしても、会う人会う人みんな、「団地出だからおれ」っていうところに関して頑固というか。

 

なんていうんですかね、みんな同じドアだし似た間取りだしオリジナリティーないとか、埋立地の団地出身だと人工物に囲まれて生きてきた負い目(?)とか、“団地以外の素敵な環境”って仮想敵を作って、その点でユナイトしちゃう癖がある。まあ、グレてんです。

 

ほんとは、世田谷とか羨ましいなあっていう。下北とかいいなあっていう気持ち、あるんですけど。そういうところ出身ではないっていう気持ちが団地ユナイトの力強さを生んでおります、たぶん。

 

「耳をすませば」ってジブリ作品、裏テーマが「団地は故郷になりえるのか」だと聞いたことあるんですけど、声を大の大にして言いたいです。

 

なります!

 

おそらく「人間は風土がない場所に愛情を持てるのだろうか?」っていう問いかけだと思います。なくても全然、愛情湧きます。あ、僕の場合は湧いてます。

 

以前もコラム内で「宇宙ステーション」ていう言葉を引き合いに出しましたけど、もし自分が宇宙ステーションで生まれ育ったら、宇宙ステーションが故郷だって言える自信があります。大人になったら宇宙ステーションを懐かしむでしょう、きっと。

 

子供って大人が思っているよりずっとタフで、あと、身の回りに対してすごく愛情を持って生きていると思うんですよねえ。そこにあるものを愛そうとする力っていうんですかね。楽しいことはそこらじゅうにあった。

 

最初は、風土はなくても、団地だって遊ぶには事欠かず、子供が「なんだこれ」って興味をそそるものに溢れてます。ただ、TVとか本を通して都会を知ると急に目の前がつまらなくなる(田舎と同じですね)。不思議だな。
僕は今都会で暮らして、昔住んでいた団地のいいところを見つけようとしてる(田舎と同じですね)。あんなにつまらないと思っていたはずなのにあそこで育って良かったなって思ってる(田舎と同じですね!)。不思議だな。

 

次回はまた変化球。

 

「耳すま」話しからの流れで、「団地出身者夏目から見たジブリ」!乞うご期待!!!

 

つづく

INFORMATION

SC_0309シャムキャッツ
ニュー・ミニ・アルバム『TAKE CARE』が好評発売中。前作『AFTER HOURS』に続き、サヌキナオヤによるアートワークをフィーチャーした豪華イラストブック付き。アルバムを引っさげて行った全国ワンマンツアーのアンコールツアー(つくば/仙台/金沢)が5月31日からスタート。夏は全国でライブが盛りだくさん!最新情報はこちらから。http://siamesecats.jp

『TAKE CARE』
¥1,790(税抜)takecare
PCD-18785/P-VINE RECORDS
リリース記念特設サイト
http://siamesecats.jp/takecare/

団地のはなし
夏目知幸

夏目知幸/1985年生まれ、千葉県・市川市出身。ロックバンド、シャムキャッツのボーカルとギターを担当。ヒット作『AFTER HOURS』の”その後”を描いた、新作『TAKE CARE』を3月4日にリリース。好きな芸人はとんねるずなどなど。好きな食べ物はあんかけ焼きそばとピザ。茶目っ気たっぷり団地メン。
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