ある視点

埋立地団地と恋

vol.8 埋立地団地と恋

ども。
ちょっと時間が空いてしまいました。

 

今回は恋というお題をいただきました。
でも、恋って、たぶんどこでしても同じですよね。団地だからこういう恋があった!みたいな話あるかなあ。なくとも、埋立地団地のいろんな風景をバックに思春期の甘酸っぱく美しい物語でも書ければいいのですが(ていうかそれをシャムキャッツの「AFTER HOURS」と「TAKE CARE」でやったんですけどね!)、団地に住んでた頃の僕の恋の思い出、ろくなものが1つもないんですよねー。ぐはー。思い出すだけで胸がきゅっとなる~。生々しい痛々しい夏目恋愛遍歴を書くのってどーなのよ。
誰も求めてなーい!でもちょっとがんばってみます。

 

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小学生にとって「すき」って言葉のちから、やばいっすよね。
好きな人」ばれたり、その人に気持ちを知られたら世界が終わる。くらいの勢いで「好き」ではしゃぎまくる小学生。まだ、恋愛って感じではないけど(とくに男子。そういうやつらもいたかもしれないけど)、好きな人が自分の毎日に与える影響、テンションの変化は大人になった今よりも、あの頃の方が大きいかったと思う。僕の場合。(恋愛についてってどーしても主観でしか語れないのがむずいっす!

 

中学生になり開き直って、エロを認めて、時にはギャグにできるようになっても、案外まだ「好き」のちからは強い。いいっすよねえ。
「つきあう」「つきあわない」の前に強烈な「好き」ってのがある。

 

女子の場合はどうなのかわかんないけど、男子は中学生の時に自分の中の「エロ」VS「好き」に頭を悩まされる。好きな子はいる、ただ、だれでもいいからひたすらにおっぱいが触りたくてしかたない。この葛藤。「好き」も「エロ」も超純粋なエナジー。こりゃ大変!こんがらがる。
全部真っ直ぐだから、なんか妙に、しかし強烈に傷ついたり傷つけたりする。もしくはすっごい蚊帳の外感を感じて凹んだり。忙しかった気がする。この辺の感じは漫画『俺たちに明日はないッス』(さそうあきら作)を読んでいただければ女子にも理解いただけるかと。
いや、もしや、女子もおなじだったりして。

 

あの頃のことを思い出すと、もう、町中に思い出があります。町中のすべて。

 

27号棟に住んでた時、向かいの棟のMが47号棟のYと付き合い始めて、たまあに家来てたなあ、手ふってきたりしてたなあとか。塩浜グランドで夜先輩と話してたら、「こないだ1000円で◯◯のおっぱい触らしてもらった」とか言ってきてこいつクズだなあと思ったっけなあとか。

 

そういうくだらないおもいでから、中学校の窓から見える野鳥観察舎の景色。なんか切ない気持ちで眺めたことあったかもとか。夜、自転車で塾へ。そのときわたる鉄橋と大きなトラックの排気。たまにあの子と一緒だったけとか。銀行窓口がなくなって、そこにできたコンビニ、京成広場(リブレ京成っていうスーパーの前の広場をそう呼んでた)、公園、ベンチ、海の向こうの光、工場の音、浦安の花火大会、団地の祭りの屋台、川沿いで焚き火、マンションの階段、窓、ドア、全部全部あの子とリーーーーンク!!

 

7号棟のMさんが好きで、Mさんにはですね、中3の時に告白してオッケーもらったんです。「私も♥」って感じで。俺、勝ち組だと思ったなあそのとき。やべーおれやべーってなった。こんな素敵なことって起こっていいのか俺に?って。

 

そのときには僕は市川の団地から浦安の団地に引っ越していたので、二人の団地の間にある、海の近くの公園で手つないだりしましたね。でもすぐ振られましたけどね。すぐ。他に好きな先輩がいたらしくて。あとから人づてに聞いただけなんで本当のところはわかんないですけどね(まだ信じてない)。

 

女の子ってわっかんねえ~って思いましたね。せつなあ~。

 

 

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ベタですけど、僕悩むとよく海を見に行ってました。恋のことでも、受験のことでも、部活のことでも、なんでも。

 

自転車で10分くらい走らせると海岸。ひとり海を眺めてると自然と気持ちが落ち着くんです。ただぼーっとするだけ。波の音がしていて、向こう岸には工場。鳥が鳴いてる。船がどっか行く。風の音もする。

 

 

なんでだろ、恋のこと、考えてたら、最終的に行き着いたのはそんな景色でした。

 

 

INFORMATION

シャムキャッツ
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4人組のロックバンド。2015年3月に発売されたミニ・アルバム『TAKE CARE』が好評発売中。10月10日には、SHIBUYA TSUTAYA O-WEST&nestの2会場にて行われるバンド企画イベント「EASY 2」が開催決定!注目の参加バンドが続々決まっているので、こちらの特設サイトをチェックしてください。

http://siamesecats.jp/easy2/siamesecats.html

http://siamesecats.jp

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団地のはなし
夏目知幸

夏目知幸/1985年生まれ、千葉県・市川市出身。ロックバンド、シャムキャッツのボーカルとギターを担当。好きな芸人はとんねるずなどなど。好きな食べ物はあんかけ焼きそばとピザ。茶目っ気たっぷり団地メン。
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(更新日:2015.07.31)

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