ある視点
vol.12 韓国団地探訪記|散歩編・その2
宿のある新村(シンチョン)から地下鉄で東へ約40分、「遁村住公アパート(ドュンチョン・チュゴン・アパート)」のある遁村洞(ドュンチョンドン)駅に着いた
地上に出ると片側4車線の大きな道路が、
案内してくれたのはインギュさん。彼女は「ドュンチョンアパートメント」
住人の立ち退きが済んだら145棟(約6,000世帯)に及ぶビルが全て取り壊され更
まずは広大な団地で一番おとなしい、5階建てが行儀よく並ぶエリアへ入った。
ただ、目に映る全てが「取り壊しを待っている」ものたち。
猫のマークが描かれた横断幕が至るところに掲げられている。
「人間は立ち退いても他の場所に住めるけれど、
みなさん知ってるでしょうか、ソウルはノラ猫がいっぱいいます(
しかし本当に、どうするんだろう。猫たちだけじゃなくて、
僕が一時期阿佐ヶ谷に住んでいた頃、
僕は毎年春になると阿佐ヶ谷住宅でお花見をしていたから、
棟と棟を結ぶ小径は曲がったり交わったりして楽しい。
インギュさんは伝えたいことがいっぱいあるようだった。
通訳をしてくれたウォンミから“意味の情報”を聞かなくても、
大きなキリンの滑り台があった公園へ来た。
なんか、遺跡の基礎を見るみたいな気持ちになった。「竪穴式住居の柱の痕跡です」「なるほど〜」みたいな感じ。僕はキ
インギュさんは「あるもの」が「なくなった」
公園の隅で猫が3匹、ご飯を食べてた。
インギュさんの声のトーンが少し明るくなって、「
もし君がさっきの横断幕のおかげでどこかへ立ち退きになったら、
そだねーって言ってた気がする。
写真:山口広太郎
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夏目知幸
夏目知幸/1985年生まれ、千葉県・市川市出身。ロックバンド、シャムキャッツのボーカルとギターを担当。好きな芸人はとんねるずなどなど。好きな食べ物はあんかけ焼きそばとピザ。茶目っ気たっぷり団地メン。
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