ある視点

フラれ気分で幕末維新!【山口県萩市編】

80年から90年代、スキー場や観光地で大流行した、ファンシーなイラストが描かれたキーホルダーや置物。リアルタイムを知る人なら「コレ持ってた!」と叫ばずにはいられない懐かしいおみやげたちを、“ファンシー絵みやげ”と命名し、日本各地で収集・研究しているのが山下メロです。絶滅の危機に瀕するおみやげ雑貨とストイックな裏話を一緒にお届けします。

vol.2 フラれ気分で幕末維新!【山口県萩市編】

みなさま1か月のご無沙汰でございます。山下メロです。いまも私は転々と調査と保護活動を行っており、本日は高台の民宿で海岸を一望しながらこの文章を書いております。今回は、数か月前に訪れました山口県・萩市のことを回想しながら、現地で保護できたファンシー絵みやげをご紹介したいと思いま す。

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【レビュー:山口県・萩市編】

その地の偉人であり、観光の要でもある歴史上の人物を躊躇なく茶化しているものは数多いのですが、この萩にたくさんある“高杉晋作=フラれちゃった晋作君のシリーズ”は、その中でも極北と言えるほどに攻めていて、私が一番好きな偉人シリーズです!そちらを中心に紹介していきたいと思います。

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こちらは最初に出会った高杉晋作キャラクター。口を大きく開けて笑っているのがアホっぽい。「みんなのたあ坊」にも通じるユルさ。このように同じキャラクターでも複数の商品がある。定番の鍵シェイプと、合皮+金属のパターン。LOVE KEY…鍵を愛せ!ってことなのだろうか。

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こちらも大きく口をあけている。高杉晋作のイメージなのだろうか。ファンシーでは非常にめずらしい皮細工商品。
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どれも同じに見えるかもしれませんが、若干は違っております。こちらも大きく口を開けていますが、前2つに対して前髪がなくなっています。この七色に輝くオーロラ湯呑みは、当時のド派手さの象徴なので私は必ず買っております。
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さらに口を開けたシリーズだが、こちらは高杉晋作とは明記されていない。しかし大きく口が開いている以上高杉晋作だ。もう、そういうことにしておこう。今回は、前髪どころか月代(※)になってしまっている。左は切手シェイプ、右は定番の月シェイプと見せかけて、謎の形である。しかしながら月シェイプには欠かせない星のチャームは健在。

※月代(さかやき)……日本の成人男性の髪形のひとつ。頭髪を、前額側から頭頂部にかけて半月形に、抜き、または剃り落としたもの。
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さんざん大口を開けさせられてきた高杉晋作とつぜんのおちょぼ口。そして恐ろしいほどに上にある眉毛。高杉晋作キャラに一石を投じたイラストです。人の形にシェイプされたキーホルダーは手が込んでいて最高です。
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背中越しの「 THE SINSAKU KUN」。“ THE ”である。そして「SHOIN MONKASEI」をローマ字にするセンス。脱帽しかない。そして色数を抑えたところが大変にクール。とうとう口元まで見えなくなりました。

キーホールダー2謎の商品。高杉晋作にぶらさがるカニ・イカ・タコ。そんな人物だったのか。そして高杉晋作の髪型は、いままで一番毛量が多く、歌舞伎役者のようである。そんな髪型だったのかも謎。

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これでいいのか SHinSAKuKun。おそろしいほどに撫で肩です。そして Nice DAy。
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これが私の大好きな“ふられちゃった晋作くん”。なんと観光資源である土地の著名人を、勝手に失恋させる商品があるとは!!…と最初は大変驚きました。他に「失恋しちゃった竜馬くん」もありまして、すべてを集めたい欲求に駆られております。泣きべそかいて小石を蹴る横顔は最高にファンシーです!

 

【調査こぼれ話】

日本のよあけ・萩のみやげ

その日、私は中国地方横断調査中で、島根県・津和野から夜のうちに山口県・萩市へとバスで移動してきましたが宿を決めておらず、急遽バスターミナル近くのゲストハウスrucoに飛び込みました。こちらが非常に洗練されていて、旅人だけでなく地域の人が集うサロンのような様相!私が旅の目的を伝えると、オーナーさんだけでなく、そこにいらっしゃった皆さんに、地元の土産店や観光情報をたくさん教えていただき、無計画だったところから、その夜のうちに翌日の行き先が決まったのです。

 

萩は町中に観光名所が点在しているのですが、翌朝7時から、次の目的地である秋芳洞へ向かう13時台のバスまでの短い滞在時間で、すべての土産店やホテルの売店を調査することができました。これは前夜に最短ルートを確定できたことが大きく、本当に恵まれた出会いでした。

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しかし、出会いはそれだけにとどまりませんでした。保護を終えて戻ると、東京から萩の取材に来ていた「雛形」クルーの方がいて、短い時間でしたが80年代やファンシーの話で盛り上がり、今回の連載が実現しました

この連載もまた、観光地で見つけて保護した「ご縁」という「おみやげ」のひとつなのです。

ファンシー絵みやげ保護活動記
山下メロ

やましためろ/ファンシー絵みやげ研究家。80年代の庶民風俗を研究。特に観光地のファンシーイラストが描かれたお土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究しており、各種メディアで保護を訴えている。訪問した土産店は1000店を超え、所有するファンシー絵みやげは4000種を超える。オリジナルiPhoneケース販売中。ウェブサイト:ファンシー学院

(更新日:2015.05.26)

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