COLUMN
ファンシー絵みやげ保護活動記

80年から90年代、スキー場や観光地で大流行した、ファンシーなイラストが描かれたキーホルダーや置物。リアルタイムを知る人なら「コレ持ってた!」と叫ばずにはいられない懐かしいおみやげたちを、“ファンシー絵みやげ”と命名し、日本各地で収集・研究しているのが山下メロ院長です。絶滅の危機に瀕するおみやげ雑貨とストイックな裏話を一緒にお届けします。

vol.5 野沢温泉に眠る“ガラパゴス”ファンシー【長野県・野沢温泉編】

みなさま1か月のご無沙汰でございます。山下院長です。ファンシー絵みやげが一番多いのは北海道なのは間違いないのですが、次点は高原・スキー場を多数抱える長野県ではないかと思っております。今回はその中でも異端の独自路線を今に残す野沢温泉を紹介したいと思います。

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【レビュー:長野県・野沢温泉編】

ファンシー絵みやげは、特定の地域にゆかりのある偉人や動物を除けば、同じキャラクターで地名だけ変えたものが色んな場所で売られています。しかし、特に地域性がなくとも、限られた場所でしか出会わないイラストというものがあります。野沢温泉の土産店が独自に進化を遂げたと思しき、ガラパゴスファンシーをお披露目いたします。

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まずは、他の地域でも見られるタイプのイラスト。よくお見かけするメーカー様です。洗練されたクマと雪だるまがカワイイ。友達を雪で作るというのも「動物が寂しがり屋キャラにされがち」あるあるを踏襲。

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野沢温泉が「BEARS LAND」というのは、いささか“熊出没注意”的な恐ろしさがあるが大丈夫なのだろうか。そして、温泉を “ONSEN” ではなく “SPA” と表記する例は、数えるほどしかない非常に珍しいパターン。最後に “YOUNG SPORTS DAYS”。

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ここからの一連は、NOZAWA以外で見たことがない雰囲気のイラストである。さっそく「WHITE PEOPLE」である。白い恋人ならぬ白い人々。スキーカップルのこと?? 背景はクレヨン塗りつぶし!

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スキーをするクマさん。「どこですべろうかぁ…」という気を許した感じのセリフが良い。そして手書き文字がやたら細い。足上げポーズも愉快。そして裸足!? スキー靴いらないのだろうか……。

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こちらは特別なスキーヤー。ゼッケンをつけているので選手なのか。イラストに独特のセンスが光ってます。背景がクレヨンタッチなのも珍しい! 右目と左目の距離がこんなに近いのにゴーグルが幅広なのはどういうわけなのか……?

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こちらも特別なスキーヤー。シリーズなのか。しかし、ゼッケン「1」と「10」の間は存在したのだろうか。だとしたらコンプリートしたいところ!ファンシーイラストなのにしっかり人間っぽい指が描かれていると、ちょっと驚きます。

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最後に、これまでのシリーズと違ったタイプ。イラストのプリントではなく金型であることと、キーチェーンとキーリングの形状から80年代以前のものではないかと推測される。キタキツネファンシーの最初期の可能性が高い。しかしまったくもって意味不明!この三色の棒は何だろう……スキー板?? 長すぎる気も。上の方のシルエットみたいなものも謎!とにかく謎だらけ!!

 

【調査こぼれ話】

ゲレンデがとけるほど恋してろ!

私は知人の帰省や旅行についていって保護活動を行うことがありますが、今回はスノーボードに行く友人たちの車に乗せてもらって温泉地まで連れて行ってもらいました。野沢温泉はスキー場のすぐそばにあり、土産店での保護活動後に無料の外湯も楽しめる共存共栄スポットです。

我々は深夜、宿に到着し就寝。翌朝早くから友人たちはゲレンデへ。温泉街の土産店は遅く開店することが多いため、私は独り宿に残り、作家になりきって雪景色を見ながら小説を書いて時間を潰してました。すると、なぜか突然部屋の電話が鳴りました。

 

「こんな時間に何だろう」と訝しがりながら電話に出ると「リンゴむいたので、食べますか?」と女将さんの優しい声。スキー客メインの宿でゲレンデに行かない非リア充な私を不憫に思ってくださったのか分かりませんが、リンゴをいただきました。そして小説の続きを書いていると、また部屋の電話が鳴りました。

 

「今度は一体なんだろう」と不安に駆られながら電話に出ると「コーヒー入れましたが飲みますか?」と、またも優しい声。どれだけ同情されているのだろうかとご馳走になり、優雅なひとときを過ごしていると、またも電話が。「おいおい、今度は一体なんだ?何が出るんだ?酒か?マッサージか?」などと思いつつ電話に出ると「パソコン詳しいですか?」とのこと。聞けば無線LAN完備を売りにしたいのにWi-Fiの調子が悪いとのこと。それは一大事なので自分のノートPCをルーターに接続し、設定修正してパスワードやSSIDを分かりやすく等々専門的な対応をして改善されました。「よし!では保護活動へ繰り出すか!」と思い部屋に戻りかけたところ、申し訳無さそうに「もしかしてホームページの修正できませんか……FAX番号を消したいのですが」と一言。即座に「そのくらいならすぐ終わるので、やってみましょう!」と快諾する私。しかし、事態はそんなに簡単ではありませんでした。

 

私はさっそくホームページの中身を見て衝撃を受けました。電話とFAXと地図がテキストではなく1枚の画像になっていたのです。文字として修正が出来ないので頭を抱えました。しかし悩んでいる時間は無いので、画像をダウンロード、ペイントソフトでFAX番号を消去、”TEL”の文字を消去、近いフォントで”TEL・FAX”を書き入れてアップロードという強行手段に出ました。時間はかかりましたが無事FAX番号を消すことができ、私は大急ぎで保護活動へ出かけました。

 

見よ!これがゲレンデでキャッキャウフフしていたリア充たちである!

見よ!これがゲレンデでキャッキャウフフしていたリア充たちである!

翌朝、素泊りのはずなのに全員に味噌汁とおにぎりのサービスが。友人たちがゲレンデでキャッキャウフフとリア充してる間、宿のIT担当として労働していた私の功績です。驚くリア充たちにエピソードを話しドヤ顔してやったのは言うまでもありません。独り宿に残っていると予測もつかない出来事が起きるので皆様も是非、非リア充してみましょう。

 

ファンシー絵みやげ保護活動記
山下メロ院長

やましためろ・いんちょう/ファンシー絵みやげ研究家。80年代の庶民風俗を研究。特に観光地のファンシーイラストが描かれたお土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究しており、各種メディアで保護を訴えている。訪問した土産店は1000店を超え、所有するファンシー絵みやげは4000種を超える。オリジナルiPhoneケース販売中。ウェブサイト:ファンシー学院

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