COLUMN
ファンシー絵みやげ保護活動記

80年から90年代、スキー場や観光地で大流行した、ファンシーなイラストが描かれたキーホルダーや置物。リアルタイムを知る人なら「コレ持ってた!」と叫ばずにはいられない懐かしいおみやげたちを、“ファンシー絵みやげ”と命名し、日本各地で収集・研究しているのが山下メロ院長です。絶滅の危機に瀕するおみやげ雑貨とストイックな裏話を一緒にお届けします。

最終回 京の日はさようなら、また会う日まで【京都府編】

国内の人気観光地の話をした際に、必ず挙がるのが京都ではないでしょうか。個人的に、京都には親戚があり、幼少期より何度も行く機会がありました。

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さらに中学校も高校も修学旅行の行き先がともに京都だったため、高校の時には見るべき名刹などもなくなり、レコードショップを回ったのも今では良い思い出です。京都は、そんな事態が起きるほど修学旅行の定番であるため、子供が主なターゲットであるファンシー絵みやげも多数作られ、売られていました。今回はその中から保護できたものの一部を紹介したいと思います。

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これは、ファンシー絵みやげと再会し、保護を決意した記念すべきキーホルダー。黒地に蓄光塗料という現代にはない配色で、一気に記憶が蘇ったものです。五山の送り火の「大」がクッキー文字になっていて星形に見えるのがキュートです。

 

 

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新撰組のイラストが使われる場合、匿名性を高めるためか、特に誰とも決めず1人だけということが多いため、個人名を付記されて多人数パターンは珍しいです。ただし「SONOTA」や「SONOTA OZEI」という人もいます……。「TSUOI!」というセリフに『Dr.スランプ』の影響が見られます。

 

 

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新撰組のシンボルマークである「誠」から、“まことくん”と名付けられたキャラクター。このような「誰でもないキャラクター」は多く見られます。こちらはウォレットチェーンというほどでもない長さのチェーンが上下についた、使い途の分からない商品。

 

 

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ファンシー絵みやげとは少し違いますが、同時代に観光地で売られていた針金を曲げて「kyoto」の筆記体文字を作り出したキーホルダー。その場で職人さんがその人の名前のものを作ってくれることもあります。

 

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なぜ京都でスケートボードかといえば、当時はスケボーブームだったので、ご当地イラストでない商品も売れたということでしょう。当時の若者文化の流行が見えるとともに、京都で買う必要があるのか分からない面白さもファンシー絵みやげの魅力のひとつです。

 

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これは修学旅行で買って宿に戻り、女子の部屋に行って「ずらすと鏡になってるよ!」といって女子にずらさせるためだけの商品なのではないでしょうか。ヘッドホン、腕時計にエレキギターと時代を超越したアイテムを装着していて、ウォークマンが流行していたことが読み取れます。

 

不安しぃ絵みやげ保護活動

今回は最終回ということで、一度も語らなかった「ある現象」についてお話ししたいと思います。

それは「不安しぃブルー」とでもいうべき、保護活動に出発する直前に巨大な不安に襲われる現象です。

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私は日本全国の観光地を回って保護活動を行っておりますが、それまでは一人旅などもしたことがありませんでしたので、最初の頃は不安がつきまといました。

 

観光地は全国各地に偏在していますが、東京から何度も往復するわけにはいきませんので、そうなると地方に長期滞在しながら調査しなくてはなりません。土地勘のない場所へ一人で赴き、慣れない交通機関を利用し、限られた時間で多くの観光地を回るのはとても大変でした。

しかし、連載で書いてきたような出会いに救われ、さまざまな旅先でのテクニックも身につけ、いつしか一人旅には慣れてきました。

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それでも、今も出発直前には巨大な不安に襲われます。

 

なぜかと言えば、果たして自分は結果を出せるのかという緊張感に襲われるのです。目的地に土産店が存在するのか、そこにファンシー絵みやげが残っているのか、それは分かりません。もし残っていたとしても、自分の行動にミスがあれば、時間が不足して生存個体を救い出せなくなります。心に余裕がなければ、集中できず救い出せたはずの個体を見落とす可能性もあります。

 

そのプレッシャーに毎回押し潰されそうになります。

逃げたくなります。

行くのをやめたくなります。

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そんな時、遠くで待っている人の顔やファンシー絵みやげが浮かんできて、背中を押されます。押し出されるように出発してしまえば、移動中は情報収集に追われて自分の内面と向き合ってる時間はなくなり、プレッシャーや不安は消えています。

現地に行けば、逃げ場はありませんから粘り強くやるだけです。粘り強くやれば結果も出るし奇跡も起こることを私は知っています。

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連載は終わりますが、旅はこれからも続きます。

次はどこかの観光地でお会いしましょう!

 

ファンシー絵みやげ保護活動記
山下メロ院長

やましためろ・いんちょう/ファンシー絵みやげ研究家。80年代の庶民風俗を研究。特に観光地のファンシーイラストが描かれたお土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究しており、各種メディアで保護を訴えている。訪問した土産店は1000店を超え、所有するファンシー絵みやげは4000種を超える。オリジナルiPhoneケース販売中。ウェブサイト:ファンシー学院

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