COLUMN
ファンシー絵みやげ保護活動記

80年から90年代、スキー場や観光地で大流行した、ファンシーなイラストが描かれたキーホルダーや置物。リアルタイムを知る人なら「コレ持ってた!」と叫ばずにはいられない懐かしいおみやげたちを、“ファンシー絵みやげ”と命名し、日本各地で収集・研究しているのが山下メロ院長です。絶滅の危機に瀕するおみやげ雑貨とストイックな裏話を一緒にお届けします。

vol.10 大分タイトなオールザナイト【大分県・別府編】

今回は大分県の別府。震災後ほどなく訪れましたが、訪問した温泉街はいずれも元気に営業中でした。雛形さんが今年の3月に原宿で行ったイベント「スナック雛形」で繋がったご縁から非常に充実した保護活動ができましたので、その成果を紹介したいと思います。

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切り抜き砂時計のコピー

前回の伊豆半島でもご紹介した温泉カップル混浴シリーズ。男性は当時の漫画的表現でもある“目がハート状態”になっており、さらに女性は誘惑するようにウィンクしていて、お色気要素を前面に出しています。こちらは変形六角形に砂時計を配置したキーホルダーで、各地で見かけるフォーマットです。

切り抜き三日月のコピー

このキーホルダーは、当時小学校で流行ったオーロラ折り紙のような素材をベースにしており、土産店がターゲットである小学生の流行をちゃんと取り入れていることがうかがえる。高崎山自然動物園では、野生の猿に餌付けをしているので猿のキャラクターである。ちなみに動物園の売店コーナーでは、「ただいま猿の群れが確認されました」といったアナウンスが店内に流れます。

 

切り抜きスタービーチのコピー

まず目に飛び込んでくる「紫の夜空にピンクの砂浜」という色使いに、現代には無い独特のセンスを感じます。この裸の男の子のイラストは日本中いろいろな場所で見かけるが、名前が特にない。傍らに置かれた玩具のプロペラ飛行機で夜空にひときわ輝く星に行こうと考えてるなら、かなり志の高い坊やですね。

切り抜きガキ子ちゃんのコピー

ちょっと意地悪でお転婆な女の子の要素を詰め込んだキャラクター“GAKIKO CHAN”。刈り上げ頭に大きなリボン、そして意地悪そうなアカンベーというのは鳥山明『Dr.スランプ』に登場する皿田きのこというキャラクターの影響を感じさせます。

 切り抜きタオル大分のコピー

混浴カップルモノの温泉タオル。猫のキャラクターは、眠り猫が有名な日光以外では珍しい。さらに温泉に入る動物キャラクターは、猿かワニが定番で、次いでキツネやクマなどの山に生息する動物なので、愛玩動物の例はさらに珍しいです。ちなみに、タオルは絵柄に関わらず使い道が多いため、リサイクルショップでも高値。温泉街の土産店においては入浴の必需品であり、昔の物であっても安くなりません。

 切り抜きのれんのコピー

“とんちのHERO!”と書かれている通り、児童文学界のヒーロー・吉四六は大分出身なのです。サングラスしているブタさんは、こちらも『Dr.スランプ』のブータレブーというキャラクターではないかと思われます。黒地に黄緑インク、鮮烈な赤の縁取りというのは暖簾の中でも特に派手なデザインで、とんちで人をアッと言わせる吉四六のイメージとマッチしています。

 

 

ファンシー絵みやげ研究家のいちばん長い夜

 

今までの連載で書いている通り、ファンシー絵みやげの保護活動においては時間の使い方が重要です。今回は調査活動中の夜の過ごし方をご紹介します。

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その日、私は24時に大分県・別府に着きました。前述のイベント「スナック雛形」にて「ぜひ別府で保護活動を!」と強く勧めてくださった鶴田宏和さんと再会するべく連絡をとって、彼の仕事場であるホテルニューツルタへ向かいました(「スナック雛形」ならびに鶴田宏和さんについては雛形の記事をご覧ください)。再会したら2人ですぐ夜の街へ。

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酒を飲んだり、クラブで踊ったり、スナックで歌ったわけではありません。土産店は営業時間外でも、外観の雰囲気と所在地を確認することができます。そのため、深夜も貴重な情報収集の時間なのです。

 

歓楽街を歩くと、鶴田さんに挨拶する人、鶴田さんが挨拶する人がそこかしこに。

 

鶴田さん「(地震)大丈夫だった?」

街の人 「大変だったけど、もう落ち着いてきたよ」

鶴田さん「(私の活動を紹介して)ここらへんで土産店ってどこかな?」

街の人 「〇〇の近くに土産屋があったけど、今はどうかな~」

 

普通は日中でないと聞き込み調査ができないのですが、歓楽街の別府は深夜でも人通りが多い。

しかも顔の広い鶴田さんなので話が早い。

 

調査箇所やルートを教わりつつ歩き回り鶴田さんと別れたのは、深夜3時でした。

 

それからホテルでインターネット調査です。施設の売店であれば開園時間、ロープウェイ乗り場なら始発の時間、港ならフェリーの入港時間。関連情報から売店の開店時間を推測し、距離と方角や流れを考えつつルートを確定させる作業です。それが終わって少し眠り6時に起床。次いつ食事できるか分からないため、ホテルニューツルタの朝食バイキングでしっかり食べてからの出発。結果、無駄なくたくさんの箇所を調査することができました。

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ところで、夜の別府で変わったお店に出会いました。

「個人が手放したファンシー絵みやげが売られることがあるので、リサイクルショップも調査する」という話を鶴田さんにしたところ、「骨董屋みたいな店がある」と言われ、場所だけ確認に向かうと……

 

!!!!!!!

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なんと深夜2時にも関わらず店が開いていて、骨董品が売られていたのです。驚きました。

個人商店は18時ごろ、チェーン店でも19~22時には閉店します。「深夜2時にこんな体験が出来るとは!」と大興奮で調査し、無事ファンシー絵みやげも発掘できました。(※冒頭の写真)

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深夜でも無駄にできる時間はありません。動けば動いた分だけ何かが起こります。

消えてゆくファンシー絵みやげの保護に、休んでいる時間はないのです。

ファンシー絵みやげ保護活動記
山下メロ院長

やましためろ・いんちょう/ファンシー絵みやげ研究家。80年代の庶民風俗を研究。特に観光地のファンシーイラストが描かれたお土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究しており、各種メディアで保護を訴えている。訪問した土産店は1000店を超え、所有するファンシー絵みやげは4000種を超える。オリジナルiPhoneケース販売中。ウェブサイト:ファンシー学院

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