特集 宇都宮ダブルプレイス案内

宇都宮を知って、味わって、つながるイベント「うつのみやらしく、」vol.2が開催されました!

栃木県宇都宮市に暮らしながら、自分らしいやり方を模索しながら、“街”と“人”をつなげる。そうした人がいま確実に増えています。

一昨年に引き続き、今年も『雛形』では宇都宮の人々を取材。宇都宮だからこそできること、そこから生まれる関係性、そしてこれからの暮らし方や働き方などをお伝えしています。そんな“街の今”を体感してもらうイベント、「うつのみやらしく、」vol.2が、東京・代官山の「Bird」にて開催されました。

宇都宮でさまざまな活動をされている4名の方をお招きして、宇都宮の魅力をじっくりお聞きするとともに、参加者の方にはおいしいサンドウィッチとクラフトビールを味わっていただく。そんなイベントの様子をお伝えいたします。

写真:工藤朋子 文:薮下佳代

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この日は、宇都宮の魅力を味わってもらおうと、とっておきのフードとドリンクでお客さんをお出迎え。宇都宮にあるクラフトビール店「BLUE MAGIC」の店長であり醸造家の中尾真仁さんには、この日のために、オリジナルのクラフトビールを作っていただきました。栃木県の名産である「とちおとめ」を使ったさわやかな「とちおとめエール」と、シトラスの香りが華やかなアメリカンペールエールの「シトリロ」をなんと1樽ずつ! その香りはまさにぎゅっと搾った「とちおとめ」!

フルーティな香りにビールだということを忘れてしまいそうなほど。飲み口はさっぱりとしており、ゴクゴク飲めてしまいます。中尾さんの手にかかれば、いちごもビールに変身してしまう。そんな“栃木らしい”ご当地ビールは、ほかにもまだまだあるそうで、宇都宮にあるお店「BLUE MAGIC」で飲むことができるそうです。

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また、今回のもうひとつの目玉はサンドウィッチ! 今回のトークイベントにもご登壇いただいた平田唯さんと、「Bird代官山」がタッグを組み、2つの絶品サンドウィッチが完成! 「とちおとめ」と自家製マーマレードのフルーツサンドと、宇都宮市民であれば知らない人はいない(?)といわれる「松井精肉店」のコロッケ&「Bird特製タルタル」のサンドウィッチです。

完熟した「とちおとめ」の甘酸っぱさと生クリームの相性は抜群! お芋がたっぷりと詰まった甘みのあるコロッケは、タルタルと組み合わせることでぐんとおいしさがアップ。そんなボリューム満点の2つのサンドウィッチをおいしそうにほおばる、みなさんの姿がとても印象的でした。

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ゲストトーク
「街を知るとは、人を知るとは」

おいしいごはんとお酒によって、会場の雰囲気も和やかになり、まずひとつめのトークショーが開催されました。宇都宮にUターンして4年目を迎え、ウェブ制作会社に勤務しながら、宇都宮のさまざまな魅力を発信している掛川真史さんと、東京で働きながら、週末は宇都宮へ通う“ダブルプレイス”を実践しながら、宇都宮から新たな出会いを生み出す平田唯さん。今日が初めての対面ということでしたが、互いの存在は知っていたということで、一気に距離が縮まります。

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2人はやっていることは違っても、目指す方向は同じ。それは「宇都宮という街や人の魅力を発信したい」ということ。掛川さんは、宇都宮ブランド推進協議会のホームページや観光PR動画の制作を通して、平田さんは、シェアハウス「カマガワリビング」で週末行われる自主イベントを通して。2人とも宇都宮という街の暮らしを楽しみ、つながる関係性を大切にしながら、そこから生まれる可能性を広げていこうとしています。

掛川さん

「生まれも育ちも宇都宮です。街中に近い場所で育って、4年前に戻ってきました。ウェブや映像の制作会社に勤務しながら、観光PR動画「RIGHT NOW!宇都宮」を作りました。この仕事をきっかけにして、宇都宮のいろんな場所へ行くことができたんです。初めて行くところがほとんどで、宇都宮でパラグライダーもできるし、餃子以外にもおいしいものはたくさんあることを発見できました。宇都宮に住んでいても知らないことっていっぱいあって、今回改めて新鮮な気持ちで宇都宮を見ることができました。僕と同じ30代の人で、一度都内に出たんだけれど、宇都宮に戻ってきてお店を始めたり、洋服のブランドを立ち上げたり、フリーのカメラマンをしながらアーティストのPVを撮ったり。宇都宮での暮らしはやっぱり心地よくて、でも仕事では東京との関係性を持続している。そういうスタイルで働いている人たちが実際いるんですよね。まさに僕がいま作っているホームページ“ダブルプレイス”を実践している人たち。そういう暮らし方だったり、働き方だったりができることを伝えていきたいですね」

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平田さん

「実家は千葉、職場は東京で、週末は宇都宮で遊ぶ。そんなライフスタイルを続けてきました。本職はエンジニアなんですが、食べることと作ることが好きなので、料理を作って食べるイベントを開催。そこから“食楽コーディネーター”という肩書きを作って活動しています。宇都宮とのご縁は、『カマガワリビング』というシェアハウスができたことがきっかけで、住人の方と出会ってそこでイベントを開催するようになりました。半年間、毎週末通っているうちにシェアハウスの一室が空いたんです。住んでみないとわからないこともあるし、住むことでもっと宇都宮と近づける気がして即決で申し込みました。金曜日の夜に宇都宮に行って、土日でイベントをして、月曜の朝に東京の職場へ出勤するという生活を半年間。今はその生活がきっかけで結婚して宇都宮に住んでいます。宇都宮に住んで良かったのは、いろいろな人とつながることができたこと。雑誌やラジオで、“ダブルプレイス”で暮らしている人として取り上げていただいて、それを見た友だちが『私=宇都宮』というイメージがついて遊びに行くよと言ってくれるようになりました。それに、どんなイベントでも『やりたい』といえば宇都宮なら叶えられる。そんな場所なんです。自分のやりたいことを実現できたのも、人と人とのつながりがあったからこそ、だと思っています」

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ワークショップ
「宇都宮の魅力に気づく頭と心のレッスン」

いま宇都宮で一番盛り上がっているスポット、「もみじ通り」にある光琳寺の副住職の井上広法さんは、お寺という場を通して地域の人とつながろうと、さまざまな試みを行っています。毎月1日に行われる「ラヂヲ体操&朝参り」や、近所のお店と一緒に食とワインを楽しむ「満月バー」も本堂で行っています。仏教の教えや瞑想といった手法を、いまの時代に合わせたかたちでわかりやすく伝えようと、ワークショップも開催。今では企業研修や講演などで全国を飛び回るほどの人気に。今回は、そんな井上さんによる、とてもユニークなワークショップを開催していただきました。

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井上さん

「いま宇都宮に住みながら、東京の恵比寿にも拠点がありまして、その2カ所を行ったり来たりしています。実は昨日も恵比寿で仕事がありまして、夜に宇都宮へ帰り、朝、お寺で仕事をしてから、ここ代官山に参りました。人間というのは不思議なもので、たとえば赤いイスに座っている時は女性として、青いイスに座っている時は男の立場で考えるといったように、自分がいる場所を変えるだけで、視座や思考回路が変わるんですね。それを今日はみなさんにも体験していただこうと思います。栃木といえば、いちごですね。そこで今回は、『ショートケーキのいちごを先に食べるか、最後に食べるか』を考えていただきたいと思います。まぁ、どっちだっていいんですが(笑)、お渡しした紙に『先に食べる』『後に食べる』と書いて、それを床に置いてください。そして、なぜ先に食べるのか、あるいは、なぜ後に食べるのか、それぞれの場所に立って、理由を考えてみましょう」

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まずは先に食べるほうから、その理由を自分なりに考えます。ペアを組んだ人と、その理由をシェア。酵素を食べるといいから、酸っぱい物を先に食べることで、口のなかに唾液を分泌できるから、甘い物を食べる前に酸っぱい物を先に食べておくほうがいいから。それぞれいろんな理由が出てきます。そして次に、さっきとは違う立場へチェンジ。後に食べる人の立場で考えてみると、さっきとは違う立場に立って考える思考回路が生まれていることに気づきます。たとえば、楽しみを最後に取っておきたいから、甘ったるかった口の中が、いちごのさわやかで終われるから。立場を変えただけで真逆のアイデアが湧いてくるのです。

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「いま書いていただいた紙と紙の距離はたった10cmほどですが、私は毎日、100km離れた宇都宮と恵比寿で同じことをやっています。恵比寿にいる時にはクリエイティブに考え、宇都宮にいる時は高齢者にも伝わるように考える。ひとつの課題に対しても恵比寿と宇都宮、それぞれの場所で考えるだけで、アイデア自体に広がりが生まれるんですね。それを僕は“ダブルプレイス”だと思っています」

2つの場所を移動することで生まれる関係性やアイデアや思考……。まさに“ダブルプレイス”という2つの地域だからこそ生まれてくる新しい視点はこれからの時代、もっと必要になってくるのではないでしょうか。

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今回、いろんな方に参加いただきましたが、話を聞いてみると、栃木県出身の方が多くいらっしゃいました。なかには宇都宮出身で、いずれは宇都宮に帰ることを検討しているという方も。でも、まずは、いま住んでいる場所と宇都宮を行ったり来たりすることから始めてみるのはどうでしょうか。ゲストと参加者がこうして、この場でつながり、またさらに広がって、宇都宮との新たな関係性生まれる。そんな思いで開催しているこのイベントが、これからも“街と人”のつながりを生み出すきっかけになればと願うばかりです。

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編集協力:宇都宮ブランド推進協議会

(更新日:2018.03.15)
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都市と地方、二拠点の魅力が交差する栃木県・宇都宮市。ここで新たな“自分の場所”を生み出している人々が語る、“宇都宮らしさ”ってどういうこと? 
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